■少しエッジーさを加えて

 同じくプルハ民族であるLucia GuillinFranklin Janetaは、それぞれ先住民ファッションブランド「Churandy」と「Vispu」を立ち上げた。「我々プルハの服は見かけなくなり、若い人たちは西欧のファッションを身に付けるようになった」と自身がデザインしたベアショルダーの服をまとったGuillinは語る。手刺繍の花があしらわれたトップスやスカートなどの価格帯は150〜800ドル(約1万7,000円〜9万円)。一番高価なアイテムは花嫁や美人コンテスト優勝者たちに向けられたジェムや刺繍などをあしらったものだ。

 デザイナーたちは花や太陽といった伝統的な装飾品やシンボルを用いる。だが今、デザイナーたちは斬新なカットなどで、より現代的なスタイルに作り変えている。「ローカットのネックラインやショートスリーブのものはなかった」とJanetaは言う。「もしそれを変えたらどうなるだろう?と私は自分自身に問いかけました。なぜなら若い女性たちはもう少しモダンなものを好むからです」

 またGuillinは服に少しエッジーさを加え、マーメイドカットやトレーン、フレアやサイドスリットなどを取り入れた。そうすることで女性たちに再びアナコのスカートを、誇りを持って着てもらえるようになったという。「我々は、先住民は閉鎖的だという考えを改めなければいけない」と彼女は言う。「そういった考えを持ち続けると、我々の文化を失う恐れもあるのです」

 Janetaらのブランドでは、毎月1万2000ドル(約135万円)の売上があるという。彼女によると、顧客たちはハンドメイドの服の価値を理解しつつあるという。「我々は異なる品質をどのように見分けるかを人々に教えた」と彼は語る。「以前は60ドル(約6700円)以上のブラウスを販売することは困難でしたが、もはやそうではない。彼らはコルセットに400ドル(約4万5000円)まで支払うでしょう」

 香水ブランド「Yuyary」(ケチュア語で記憶を意味する)を立ち上げたデザイナーのEsther MirandaJose MulloJacqueline Tuquingaといった新時代の先住民事業家たちは、西欧人たちも潜在的な消費者ターゲットと見なしている。「ケチュアのブランドなので、人々は我々のコミュニティーだけのものと思いがちだ」とMirandaは言う。「しかし我々はそれを超えていきたい」。(c)AFP/ Paola LÓPEZ