■1年に4度の収穫を可能にする気候

「南アフリカでは1年に2度しか収穫がない。しかしここには冬がないので、4度の収穫が可能になる」と自身の会社「Ikirezi Natural Products」を成長させ、多様化させているヒティマナは言う。25ヘクタールの農園ではゼラニウムのほかにパチョリやレモングラス、ユーカリなどから1000キロのエッセンシャルオイルが収穫される。これらのオイルはカナダや南アフリカ、アメリカに輸出され、香水産業で使用されている。会社では、70人の農業者を雇っている。

「はじめは彼らに生計の糧を捨てて商業的農業をするよう説得するのが難しかった」と言う。加えてこの植物は豆を育てるよりも正確性が必要だ。「時期どおりに植え付け、肥料を与え、土を耕し、灌漑し、収穫することが必要だ」。そうしなければ生産が「大幅に」減るリスクを生むのだとヒティマナは語る。たった1キロのオイルを生産するために600から1000キロのゼラニウムが必要となるからだ。

 数年を経て、雇用者たちは確信を抱いたようだ。「ここで働き始めてからブリキ屋根の家を建てることができたし、息子の学費など必要なものはすべて賄えるようになった」と55歳のステファニー ムクアマナ(Stephanie Mukamana)は忙しげにゼラニウム畑の雑草を取り除きながら話す。

 国立農業輸出開発局(National Agricultural Export Development Board)のデータによると、昨年ルワンダはゼラニウムやモリンガ、パチョリ、タゲテスなどのエッセンシャルオイルを約14トン輸出し、47万3,000ドル(約5296万円)をもたらした。ルワンダでは天然の殺虫剤でもある除虫菊も栽培中だ。