■よみがえった「ヴェルサーチ」

「フェラリスとドナテラは解決を見いだした。彼らの話し合いは良好でドナテラのクリエイティビティーやビジョンへの大きなリスペクトもあった」とサヴィオーロは語る。イタリアのファッションブランドの例に漏れず、創業一家も会社の支配権を放棄することを拒否していたが、ついに2014年に米国の投資ファンド運用会社「ブラックストーン(Blackstone)」に株式の20%を売却した。この動きはドナテラによると「ヴェルサーチ」の「可能性を実現するもの」であり、調達した資金を活用して新興国市場で存在感を高められた。

 この戦略は功を奏した。困難な世界的状況にもかかわらず、売り上げは2014年と2015年に17%ほど増加した。その後ブランドは「次のステージへと向かう」ときだったと表明し、2016年5月にフェラリスが退任。前「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」CEOのジョナサン・エクロイド(Jonathan Akeroyd)が後任となった。

 昨年、売り上げは前年比3.7%の6億6800万ユーロ(約864億1200万円)になったが、ブティック展開により740万ユーロ(約95億7300万円)の損失を出した。この結果は「ある種の不安定さをもたらした」が「会社は健全だ。10年前に比べたら明らかにそうだ」とパンビアンコは語る。「ヴェルサーチは今も世界のラグジュアリー業界で最も輝いているブランドの一つだ」とし、「まだ多くの可能性を秘めている」と言う。ラグジュアリーブランドの「グッチ(Gucci)」を例に挙げ、「グッチは7倍以上の売り上げだ」と指摘する。

 サヴィオーロも同じ意見だ。「ヴェルサーチは『栄光のDNA』を取り戻した」。そのスタイルは現在、「とても斬新で、とても力強い」と語る。(c)AFP/ Celine CORNU