イタリアの老舗仕立て屋と、カトリック界のスターたちの関係
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■由緒ある緋色のシルクがマスト
任命が決まると、未来の枢機卿たちのうち3人は、イタリアの首都ローマ(Rome)にある仕立て屋でさっそく寸法を測り、残る1人は、自身の寸法を持った秘書を送り込んだ。
マンチネッリにとって、新規の顧客より長年の顧客の衣装を仕立てるほうがやりやすい仕事ではあるが、「それでも寸法を確認しなくてはならない。彼らが太ってお腹まわりに肉をつけていることがあるからね!」と認める。
衣装の1つ、緋色のビレッタ(biretta)はさまざまなサイズで用意されている。ひさしが4つある帽子で、新枢機卿は法王の前にひざまずき、これを頭の上に戴く。カソックやシルクのベルト、モゼッタはこの重要な行事の数日前にバチカンに届けられなくてはならない。使用される軽くソフトな生地は、公式の供給元からのものと決まっており、色は指定の緋色以外であってはならないという。
2013年に選ばれた法王が「貧しき者のための貧しき教会」を掲げて以来、儀式で枢機卿たちが着用する衣装を豪華にするのは好まれなくなった。「彼らは最低必需品しか購入しない」とマンチネッリは言う。「フランシスコ法王のもと、枢機卿たちはより簡素なものを求めている。以前はシルクのみを使用したが、今はシルクとウールを混ぜている。生地は以前より少し安価で、控えめのものだ」