【5月2日 MODE PRESS WATCH】スペイン老舗ブランド「ロエベ(LOEWE)」はスペイン・マドリードにて、第1回ロエベ クラフト プライズ(LOEWE CRAFT PRIZE、以下、クラフト プライズ)の大賞受賞者を発表した。5大陸75ヶ国の職人たちからの4,000点近い応募作品より、26名のファイナリストが選出され、ドイツ生まれのエルンスト・ギャンパール(Ernst Gamperl)が受賞した。受賞作品および全ファイナリストの作品は、マドリードに続き、ニューヨークやロンドンなどで巡回展示される。日本では11月に展示予定だ。

「クラフト・プライズ」は、同ブランドのクリエイティブ ディレクターであるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)とロエベ財団(ロエベ一族が1988年に設立)の主催によるインターナショナル・アワード。1846年にクラフトの協働工房として始まった「ロエベ」の創業形態にインスパイアされたもので、現代の職人らの卓越性や芸術的価値を称える目的としてスタート。デザイン・建築などの分野で活躍する第一人者で構成される審査員が選考を行う。今回の審査委員は、アンダーソンをはじめ、デザイナー兼日本民藝館館長の深澤直人(Naoto Fukasawa)や建築家兼デザイナーのパトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)、ジュエリー・アーティスト兼ドローグ デザイン共同設立者のハイス・バッカー(Gijs Bakker)などが務めた。

 大賞を受賞したギャンパールは、嵐で根元から折れた樹齢300年を超えるオーク材を使用したオブジェを制作。木そのものの形や亀裂、割れ目などを生かしたデザインに、金銀線細工を施した作品は、倒れた木のストーリーを永遠のものにしている。授賞式では、女優のシャーロット・ランプリング(Charlotte Rampling)がトロフィーと賞金5万ユーロを授与した。

 また優秀な作品が多かったことから、急きょ特別賞が設けられ、日本の神代良明(Yoshiaki Kojiro)とメキシコのアステサニアス・パニクア(Artesanias Panikua)が受賞。神代はガラス粉末と酸化銅粉末を混ぜ合わせ、溶けたガラスと加熱した鉱物から発生するガスの相互効果を利用した陶器を制作。東京ガラス工芸研究所研究科でアルチザンとしての技に磨きをかけた彼のガラス工芸に対するアプローチには、自国の文化と研究に対する彼のひたむきさが吹き込まれている。パニクアはメキシコ・ミチョアカン地区の先住民プレペチャ族の末裔である工房で、祖先伝来のクラフツマンシップを継続しつつ発展している。何百本もの小麦繊維の撚り糸を織った作品で、戦いと火を意味するプレペチャ族の太陽神を表現した。

 第2回クラフト プライズの応募は6月にスタート。受賞者の発表は来年、仏・パリで予定している。

■関連情報
・ロエベ 公式HP:www.loewe.com
・ロエベ・クラフト・プライズ日本語公式サイト:http://loewecraftprize.com/jp
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