【4月6日 AFP】米国のドナルド・トランプ大統領(Donald Trump)が署名した一部のイスラム圏諸国からの入国を禁止する大統領令に対し、モデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)が非難の声を上げ、移民の娘であることやイスラム教徒であることを誇りに思うと語った。

 20歳のベラは今最も需要のあるモデルで、誰よりも多くの撮影をこなし、ニューヨーク(New York)やヨーロッパの17/18秋冬コレクションではランウェイを支配した。

 ベラの父親は10代のときに米国へ移住したパレスチナ系米国人の不動産開発業者モハメド・ハディッド(Mohamed Hadid)、母親はオランダ出身のモデル、ヨランダ・ハディッド(Yolanda Hadid)だ。ベラ自身はこの夫妻の次女で、長女のジジ(Gigi Hadid)はスーパーモデル、弟のアンワル(Anwar Hadid)もモデルとして活動する。

 ベラはトランプ大統領の入国制限令についてファッション誌「ポーター(Porter)」の取材に対し「私の父は最初、難民として米国にやって来た。米国は私たちきょうだいにとって、故郷同様の存在」だと語った。「父は常に信心深かったし、いつも私たちと共に神に祈っていた。私はムスリムであることを誇りに思う」。ベラの父親は1948年にイスラエル北部の都市ナザレ(Nazareth)に生まれ、10代で米国に移住するまでは中東に暮らしていたという。

 今年1月、ハディッド姉妹は入国制限令に対する抗議デモに参加。その大統領令は、ムスリムが多数を占める7か国からやって来る米国の査証(ビザ)保有者の入国を制限するものだった。ニューヨークで撮影された2人が掲げたポスターには「私たちは皆、ヒンズー教徒、仏教徒、ムスリム、無宗教者、キリスト教徒、ユダヤ教徒」と書かれていた。

 3月から施行されるはずだったこの制限令は、連邦地方裁判所によって一時差し止められたが、トランプ政権は上訴して争っていく構えだ。

 抗議デモに参加した経緯についてベラは2月に女性誌「エル(ELLE)」の取材で「私はとても多様な家庭で育った。民族によって人を差別して扱うべきでない。そんなのは正しくない」と語った。

 カナダ出身のR&Bシンガー、ザ・ウィークエンド(The Weeknd)の元恋人としても知られるベラは今年「ブルガリ(BVLGARI)」や「DKNY」「モスキーノ(MOSCHINO)」などの広告キャンペーンに次々と登場した。インスタグラム(Instagram)では1200万人近いフォロワーを誇る存在だ。またベラの姉、ジジは今年3月、ジュエリーがあしらわれたベールをまとい、アラビア版「ヴォーグ(Vogue Arabia)」第1号の表紙を飾った。(c)AFP