■チャンスすらない国

 ビビアンさんの活動はインターネット上で非難され、中には殺害予告や悪意に満ちた嫌がらせもあった。一部については訴訟も起こした。「こんな目に遭っても、私は自分の仕事が好き」と、ビビアンさんは語る。「世の中の私のような女の子たちにメッセージを送りたかった。あなたは一人じゃない、どんなあなたでもきれいなんだって」

 ビビアンさんは、韓国のテレビ局が企画したモデルによるリアリティー番組のオーディションに落選した後、2010年に渡米。多くのプラスサイズファッションショーに起用された。だが帰国してみると、プラスサイズモデルの仕事が全くないことが分かった。

 有名ファッションデザイナーのイ・チョンチョン(Lee Chung Chung)氏によると、雑誌やファッションカタログに多様なサイズのモデルを起用することは、韓国では依然浸透していない。「顧客の多くが抱く美の理想はスリムであるということ。売り上げを維持するにはその要望に応えなければならない」と言う。

 ソウルに本社を置くモデル事務所、ニュー・フェイス・モデル(New Face Model)のコン・ジウ(Gong Ji-Woo)代表は、プラスサイズモデルの需要は「皆無」だと話す。唯一の例外が、ショッピングチャンネルで食品を食べたりエクササイズ機器を試したりする仕事だと言う。

 コン氏は「プラスサイズモデルのファッションショーや番組が広がる必要性は確かに感じている」としながらも「それを実現するには、韓国のアパレル企業やファッション業界がそれを受け入れるよう変化しなければならない。一度きりのイベントなどではなく」と述べた。