【10月19日 AFP】「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京(Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO)」はこの週末、セクシーにアレンジした日本の伝統衣装「着物」をフィーチャーしたショーで閉幕した。最近、女性のワードローブに着物がひっそりと戻ってきつつある中でのイベントとなった。

 主要都市において着物を着る女性を目にすることは決して少なくないが、その「とっつきにくさ」から、着物は普段着というよりも、特別な機会に着る晴れ着としての扱いを受ける傾向にある。

「とっつきにくさ」の主な理由の一つとして挙げられるのは、いわゆる「着付け」の必要性だろう。着物に関心のある多くの女性たちは、数か月にわたるレッスンを受けるか、それともあきらめて簡単な洋服を着るかの選択を迫られる。

 しかし、ファッション産業から着物に寄せられている新たな注目は、着物の生き残りに大きく貢献するかもしれないと専門家らはみている。

■ヒョウ柄や毛皮も

 京都の着物染織家の家に生まれ、20年以上にわたり「衣」に携わってきたデザイナーの斉藤上太郎(Jotaro Saito)氏は、ファッションの未来において変化は重要だと考えている。

 斎藤氏は、デザイナーには一般社会からの要求に応える必要性があり、また伝統的なデザインを変えて現代の女性の生活に合った服を、その伝統的な魅力を失うことなく手掛けることが求められていると説明した。

 斎藤氏が使う素材は、デニムやポリエステルなど実用的な素材から高級絹に至るまで幅広い。その柄も革新的で、毛皮に縁取られたフードなど流行のデザインも取り入れている。

 17日夜のショーでは、ロックバンド「X JAPAN」のメンバーYOSHIKIと京都の染色工房とのコラボレーションが実現。ランウエーには、体にぴったり密着した着物やミニスカート丈の着物が鋲やレザー、ハイヒールのブーツなどと一緒に登場した。

 伝統を重んじるいわゆる「保守派」の人々は当初、これらデザイナーたちの新しいアプローチに警戒感をあらわにしたが、それも近年変わってきたと「Kimono Now」の著者である岡崎真奈美(Manami Okazaki)さんは語る。

 岡崎さんは「当初、デザイナーたちが行っていた新たな試みへの風当たりはかなり強かった。しかし今では広く受け入れられており、こうした現代的なアプローチは、より若い顧客を引きつける懸け橋となるかもしれないとも考えられている」と述べ、そしてその背景には「新しいデザインの着物を受け入れた若い人たちが、将来的により伝統的な着物への関心を持ってくれることへの期待がある」と分析している。(c)AFP/Ammu KANNAMPILLY