【8月7日 AFP】(写真追加)正規の滞在許可証を持たずにフランスに在住している日本人ファッションデザイナーの大浦雲平(Umpei Ohura、34)が先月末、パリ(Paris)の司法宮(Palace of Justice)で、自身の最新ウイメンズコレクションを発表した。大浦の弁護士によると、滞在許可証を取得するための苦肉の策だったという。

 大浦が披露したのはデニムやしなやかな素材を使った、プリーツスカートなど約10点のルック。会場に選んだのは、同国の主要司法機関が集まっている司法宮の豪華なホールにこじんまりと設けたキャットウォークだった。

 大浦が学生ビザでフランスに入国したのは2006年。2013年以降は滞在許可証を得られないまま、引き続きフランス国内で暮らしている。

 自身のブランド「クラウド・ロビー(Cloud Lobby)」を立ち上げる前は、さまざまなデザイナーの下で修行してきた。

 大浦の代理人を務めるロマン・ブレ(Romain Boulet)弁護士は、2012年に当時のマニュエル・バルス(Manuel Valls)内相(現首相)が出した「特別な才能」を持つ人に滞在許可証を与えるという法令を根拠に大浦の滞在許可を取得しようと尽力したが、申請は却下された。

 大浦のショーをインターネット上で紹介する動画の中でブレ弁護士は、「この青年は才能にあふれており、フランスは彼を喜んで迎え入れるべきです」「もしこれが特別な才能でないとしたら、誰にそれがあるというのでしょうか?」と話した。「彼は滞在許可証の取得条件を全て満たしています。経済的に独立していて、才能もあります」

 大浦は国際的なパタンナー養成学校で資格を取得した後、ヴェロニク・ルロワ(Veronique Leroy)やクリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)、ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)といったデザイナーらと共に働いてきた。

 フランスで活動し続けていきたいという希望は持っているが、正規の滞在許可証がなければ自身のファッションラインを展開していくことは難しい。

「労働許可がないため、自分のデザインを大手小売店に売り込みに行くことができません。厳しい状況です。自分で起業もできません、登録番号がないのですから」と大浦は嘆いた。(c)AFP