■点字からインスパイアされたデザイン

 ショーのオープニングを飾ったのは2012年ロンドン・パラリンピック、競泳女子の金メダリストで、製薬会社で働く全盲の秋山里奈(Rina Akiyama)さんだ。秋山さんは点字にインスパイアされたドット柄の裾広がりのドレスを着用した。秋山さんによると、こうしたファッションイベントが日本で開かれるのは「非常に珍しい」という。「家にこもっている障害者の人は相当数いると思います。今日のような機会が増えれば素晴らしいですよね」

 起用するモデルの選択の幅の狭さは、世界的なファッションウィークにおいてしばしば非難されるところだが、最近はわずかながらも着実に多様な方向へ進み始めている。2月には米ニューヨークで、ダウン症の米女優ジェイミー・ブルーワー(Jamie Brewer)が「キャリー・ハマー(Carrie Hammer)」のコレクションにAラインのブラックドレスを着用して登場した。

 ハマーは2014年にキャンペーン「Role Models Not Runway Models」(「お手本はランウェイモデルではない」の意)をスタート。それぞれの分野で活躍する人たちをモデルに選び、ニューヨークで初めて車いすに乗る女性をランウェイモデルに起用した。

 英男性モデルのジャック・アイヤーズ(Jack Eyers)も今年2月、切断手術を受けた男性モデルとして初めてニューヨーク・ファッションウィークでランウェイに登場。このショーのデザイナー、アントニオ・ウルジ(Antonio Urzi)はその後、ミラノでも作品を発表した。

 鶴田のコレクションでは、義足をつけた2人の女性がモデルとして登場した。そのうちの1人、村上清加(Sayaka Murakami)さんは、折り鶴柄のスタイリッシュな白いシャツを着用した。

 短距離走と走り幅跳びでリオデジャネイロ・パラリンピック出場を目指す村上さんは、ファッション業界がスポーツ界のように「インクルージョン」(社会的包摂)を支持し継続していくだろうと希望を抱いている。「将来的には、障害のある人もモデルになる夢をあきらめず、達成に向かって努力し続けられるようになるでしょう」(c)AFP/Rachel O'BRIEN