■外国人起用の背景にはブランド戦略も?

 ファッションウィークのキャスティング・ディレクターを務めたボビー氏によると、最近は東京のモデル事務所の多くが東ヨーロッパやロシア出身のモデルを選ぶという。モデルたちは飛行機代、住居、運転手つきの魅力的な契約を差し出される。現地のモデルを雇った場合と比較すると、事務所の負担はほぼ倍になるという。

 一方で、日本人モデルの中にはファッションの中心地ニューヨークなどで運試しをする若手も出てきている。ボビー氏は「日本人デザイナーが日本人モデルを起用するというのはあまりにも現実的すぎるのでしょう」と語った。

 また、東京ファッションウィークを世界にアピールするという狙いもある。東京は有名デザイナーらにとってパリやニューヨーク、ミラノ、ロンドンといった都市ほど魅力的ではないからだ。米国育ちの立野はこれが、デザイナーらが外国人モデルを起用するもう一つの理由だと考えている「彼らは海外に進出したいので、アジア市場だけにターゲットを絞るわけにはいかないのです」

 一方で米国育ちの立野は、日本人モデルを起用すれば、国内の消費者は「実際に服を着たときのイメージがしやすくなる」とも話した。

 ウクライナ出身のKaliも、東京でもっと日本人モデルと仕事をしたいと語った。東京は彼女にとって、他都市よりもより楽しく仕事ができる環境だという。「自分が誰であろうと、そして有名であろうとなかろうと関係なく人を扱う、私はそういう日本的なやり方が好きなんです」(c)AFP/Rachel O'BRIEN