【7月1日 MODE PRESS】~代官山蔦屋で最も売れている洋雑誌『キンフォーク(KINFOLK)』

 去年(2012年)にオープンし、もはや東京を代表する書店となった代官山蔦屋書店は、洋書や洋雑誌の充実度でも郡を抜く。現在、70種以上の洋雑誌をレギュラーに揃えているという。その代官山蔦屋書店で最も売れている洋雑誌とは何か? それは『アメリカン・ヴォーグ』でも『イタリアン・ヴォーグ』でもなく、『キンフォーク』だと同店雑誌担当の谷口氏は言う。この『キンフォーク』、6月に日本語版が創刊され話題となっている。2011年に米国オレゴン州ポートランドにて創刊されたこのライフスタイル・マガジンは、じわじわと熱心なファンを世界中に獲得し、世界中の高感度な書店や雑貨店などに置かれるようになっている。先日6月中旬に訪れたシンガポールでも、お洒落な雑貨屋やクリエイター向け書店には必ず『キンフォーク』が置いてあった。『キンフォーク』は、まるで写真集のような作りの、広告が一切なく、テキストが少なく、マット紙による暖かみのある質感で、食を中心にしたライフスタイルを紹介する雑誌だ。発行部数は5万部だという。

(参考資料:その1)http://www.asahi.com/and_w/interest/TKY201304180221.html

 なぜ『キンフォーク』がこうも先進都市の人々を魅了するのか? 日本版創刊のローンチ・パーティーのために来日した『キンフォーク』編集長のネイサン・ウィリアムス(Nathan Williams)に直接話を聞いた。

 友人や隣人たちと集まって、皆でシンプルな料理や食事を楽しみ、そこで生まれる会話や人との結びつきを大事にすること――“スモール・ギャザリング”をコンセプトに掲げるネイサンは、それまでのライフスタイル・マガジンとの決定的な違いを次のように語る。

「アメリカでメジャーな食の雑誌『マーサ・スチュワート・リビング』や『ボン・アペティート』などが長らく焦点を当ててきたのは、家族や友人と家で食事を楽しむときの、テーブルセットの美しい見せ方や、花の飾り方、料理の盛り付け方という点だった。僕らは、もっと“スモール・ギャザリング”を通した人との関わり方に目を向け、意味のある生活や、エンターテイメントで、カジュアルで、熟考された考え方を提示したかった」

 『キンフォーク』には実に多くのカメラマンやライター、デザイナーが関わっていが、毎号一定したストイックな美意識を保っている。それについて彼はこう言う。

「雑誌全体として非常に統一感があるはずだ。なぜなら、『キンフォーク』というのはある種のプロジェクトであり、様々な写真を束ね集めたものではないからね」