【3月8日 senken h】多くの女性が活躍するアパレル・ファッション業界。華やかなイメージの裏で実際の仕事はハードで多忙。そんなファッションの世界で、仕事も私生活もバリバリこなして輝くアラフォー女子たちの本音とは? ファッション業界一筋に走ってきた強く美しい大人女子たちがクロストーク。

 ドゥーズィエム クラスの土屋文さん、ビームスの山村香代子さん、ユナイテッドアローズの西畑小百合さんに聞いた、仕事の思い、プライベートとのバランス…。ファッションを仕事にしながら、すてきな大人になるための秘訣(ひけつ)が詰まった女子トーク。

■がむしゃら時代――3人のこれまで

山村(敬称略、以下同):ビームスに入社して2年ショップスタッフを経験して、12年PR。昨年からは新設された部署で宣伝やPRの統括になったのが最近の転機です。ビームスの各レーベルの動きをつなげて相乗効果を出していく仕事。会社全体を見渡して動く立場という意味では自分が変わる時でしたね。
土屋:私は26歳でドゥーズィエム クラスをやっているベイクルーズに入りました。販売、店舗マネジメント、11年間PR、昨年から商品MDになって、もうバタバタの毎日(笑)。
山村:いろいろやっているのね。
土屋:そう。ベイクルーズに入って変わった、、自分が。26歳まで販売職で、何も考えてなかった。でも最初にドゥーズィエムの自由が丘店に配属になった時、まだセレクトショップというカルチャーが始まったばかりで知名度も低いからお客さんが来なくて。どうやってその日の売上を作るか、お店をみんなで盛り上げるかを考えるしかない。時期的にドゥーズィエムもベイクルーズも拡大していったので、自分もがむしゃらに頑張ってきた感じですね。
西畑:私も20代の頃は必死の時代。「ドゥロワー」のPRから始まりましたが、すぐ何もかもひとりで全部やらないといけない。トイレ行く時間もなかったり、相談する相手もいない、友達と飲みに行く時間もない。いろいろなものを犠牲にして頑張っていて必死だった。
山村:分かるー、泣きそう(笑)
土屋:そう。みんなその時があるから今の自分があるよね。
西畑:そうですね。その時代を乗り越えたことが自分の支えになっている。あの時頑張れたから今頑張れる、みたいに。
土屋:しかも山村さんは仕事に子育てもでしょ? この人よくやるな、と思って(笑)
山村:だから若い人をマネジメントするようになった今は、自分と同じようにがむしゃらな下の人を見て、思いっきりやってって感じ。若いスタッフががむしゃらにできるようにしてあげるのも大事かな、なんて思うのは大人になったのかな(笑)
土屋:管理するんじゃなくて、常に刺激を与えて、タスクを投げ続けていくことが大事だよね。がむしゃらにやってきたからこそ、今はそんなつなぎ役になる時なのかと思うわけです。でもそんな仕事をしながら、山村さんは子育てもでしょ? この人よくやるな、と思って見ている(笑)

■がんばってきた今――自分に素直になる

山村:5カ月産休取った時、早く戻りたいと思って、改めて仕事が好きだと実感しましたね。仕事もプライベートも両方が大事で支え。時間的にはタイトだけど、その両方を充実させるから頑張れる。泳いでないと死んじゃう魚みたいなもので(笑)
土屋:確かに。そういう自分を作ってきちゃったけど、それも好き。
西畑:私、1回ファッションを辞めたくなって、ペット業界の仕事をと思ったことがあったんです。でもその直前でやっぱりファッションしかないと気付かされて戻りました。
 それからはニュートラルって言葉をすごく大事にしているんです。がむしゃらを経たからこそ、今はいろいろなものを吸収できるし、シャットアウトもできる。そんな心と体のバランスが大事。仕事とそれ以外の時間をきっちり分けるように意識しているし、できるようになりましたね。
土屋:やっと自分に素直になれるようになってきた、確かに。がむしゃら時代は友人よりも仕事のお付き合いとか優先だったけど、今は両方のバランスが大事だと思うし、できる。最近は家で毎晩ぼーっとしています。本当に何もせず、夜中までぼーっと。それが仕事モードから素直な自分に戻る時間になって、バランスを取るのに大切なことになっている。

■これから――自分のケアが仕事にもつながる

山村:仕事以外はやはり子育ての時間が多くなるけど、「食育」はしたいと思い、素材の良い旬な物を選んで食べています。そうしたら私の体調も良くなってきて、仕事もはかどっています。
西畑:スタイリストさんからもらった本で読んだのですけど、食べ物も作り手が良い体調や楽しい気持ちで作ったものとそうじゃないものって、うまみの数値みたいなのも違うらしいですよ。きっとファッションも働いている私たちが楽しく、良い自分でいられるとお店や商品を通じて、お客さんにも伝わるんじゃないかって思います。
土屋:楽しい所に人って集まるよね。そのためにも自分に合うもの、自分に素直になることを今、大事にしたいですよね。
山村:そう。だから私の今のテーマは「自分と向き合って、自分の根本から良くして行きましょう」。PRの仕事は、どんなものにもチャーム(魅力)を見つけてそれを伝えること、と前に言われて大事にしている。自分が素直で笑顔でいれば、チャームも見つけられると思っています。
土屋:今、ドゥーズィエムが17年目のリブランディングの時期で、もう一度ちょっとバリバリモードの時期だけど、心は常にきれいでいたいなと思っています。キーッとならない、仕事と一緒に心と自分のケアもしながら、格好良いドゥーズィエムにするぜ、みたいな気持ち。
西畑:年齢ではなくて、そういう気持ちでいることが本当の若さや魅力なんだと思う。そういうすてきな先輩女性がいるこの業界だから私たちも憧れの人に近づいていけると思いますね。

■今回の対談場所はここ!
バリスタによるコーヒーがいつでも気軽に/フィルバート ステップス
 コーヒーの魅力や楽しみ方をもっと知ってもらいたいとオープンした「フィルバート ステップス」。バリスタが目の前で提供してくれる、挽きたて&淹(い)れたてのコーヒーは格別だ。豆と淹れ方を選んで、気分な1杯を。(c)senken h

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