【8月6日 MODE PRESS】東京・上野にある東京国立博物館・法隆寺宝物館で7月30日、2012年「モンブラン国際文化賞(モンブラン・デ・ラ・キュルチュール - アート・パトロネージ・アワード)」の授賞式が開催された。若手アーティストの支援と芸術の復興の影に欠かせない存在“現代のアートパトロン”に敬意を表する目的で1992年に設立されたこの賞、今年は世界12か国(地域)で実施され、日本では直島福武美術財団の理事長である福武總一郎(Souitirou Fukutake)氏が受賞した。

■直島福武美術財団の活動を称えて

 福武氏は、いまや世界中から注目を集める日本のアートスポット、瀬戸内海の「ベネッセアートサイト直島」の発起人。強い意志と行動力で、人と自然と芸術が調和し「よく生きる(=ベネッセ:benesse)」ための地上のオアシスを実現させた功績がモンブラン文化財団審査員に感銘を与え、受賞者に選出された。受賞者発表においてモンブラン ジャパンのホルヘ・プエンテスCEO プレジデントは「福武氏のビジョン、リーダーシップ、数々の貢献のおかげで、私たちは世界を新しい形で体験できるようになりました」と称賛。福武氏には、賞金1500ユーロと、受賞者のために限定生産された「パトロンシリーズ」のリミテッドエディションの万年筆が授与された。賞金は受賞者が選ぶ団体に寄付することができ、今回は「南三陸生きる博覧会2012」に贈られる。

■特別ゲスト、安藤氏と北川氏も祝福

 この日会場には、直島に携わった建築家の安藤忠雄(Tadao Ando)氏、瀬戸内国際芸術祭で総合ディレクターを務めた北川フラム(Furamu Kitagawa)氏も祝福に駆けつけた。安藤氏は「現代美術と人と自然が直島と共に生きると言われて25年、最初は躊躇しましたが、福武さんについてきて良かった。今、世界中のアーティストが直島での発表を望んでいます。福武さんのように、粘り強く『世界に負けない』という気持ちの人が増えれば、日本はもっと元気になると思います。これからも世界向けて発信し続けてください」と祝福。北川氏は「福武さんには、祖先を大切にすることを教えられました。血縁だけでなく、地域のお年寄りを含めた“人生の達人”が幸せでなければ、私たちは幸せになれないと。それがアートを含めて実現でき、良い形で人々に広がっている」とその教えと活動を称えた。

■直島を通じて伝えたいこと

 主役の福武氏は、ベネッセアートサイト直島の経緯や強く影響を受けた書籍について触れ、直島の活動を通して伝えたいメッセージ「在るものを活かし、無いものを作る」「年を取れば取るほど幸せに」「経済は文化の僕(公益資本主義)」についてスピーチ。「お年寄り、すなわち“人生の達人”が元気なのが良いコ ミュニティ。直島は人が集まるようになってお年寄りに活気が出てきました。食料、エネルギーとも自給率の低い日本で、島々では自給自足でやっていこうと活動しています。“よく生きる”を具現化する場所にしていきたい」と展望を語った。(c)MODE PRESS