【12月21日 MODE PRESS】ジュエリーブランド「TASAKI(タサキ)」のクリエイティブディレクターを09年秋から務めるデザイナーのタクーン・パニクガル(Thakoon Panichgul)氏が先日、来日した。2012年春夏コレクションでは、花々の魅せる美しさや危険を秘めた蛇や牙の魅せる美しさ、自然のエレメントをありのままにジュエリーに落とし込んだリングやネックレス、ピアスなどが並ぶ。繊細でありながらも大胆でアヴァンギャルドな作品はどこか儚げで美しい。ファッションデザインだけでなく、ジュエリーデザインにおいても類い希な才能を発揮している彼に話を聞いた。

-TASAKIとのパートナーシップを振り返って

 自分がこれまで経験してきた“ファッションデザイン”とはまったく異なる作業をTASAKIを通してやっています。ジュエリーのデザインというだけでなく、遠く離れた日本の企業と一緒に仕事をするという点においても非常にエキサイティングな経験です。

 年に5回ほど来日し、デザインチームと毎日しっかりとコミュニケーションをとります。NYに戻ったら資料を送って、それに対してお互いに迅速なやりとりをする。距離は離れているけれど、コミュニケーションが密で質が高いので全く不自由を感じません。TASAKIは非常に歴史のあるジュエリーカンパニーですが、新しいことに対して常に積極的に取り組んでくれる。それもあって、このパートナーシップにとても満足しています。

-ファッションとジュエリーの違い

 ファッションとジュエリーでは、同じアイデア、コンセプトでスタートしても、作るプロセスがまったく違います。ジュエリーは服に比べて、ダイヤモンドをはじめ石の特性がとても特別で、構造や耐久性などいろいろな面で限定されることが多い。一方、服は素材やデザインなど多くの部分で遊びの幅がジュエリーと比べて大きい。「異なる2つのものの融合」というクリエーションにおいての自分のポリシーは、ジュエリーデザインにおいても同じ。いつも意外な一面を持った作品を作りたいと思っています。一見美しいジュエリーでも実は棘があったり・・・・相反する物の美しさをデザインしたい。

-人生とは・・・

 ファッション、ジュエリーと手がけていますが、次の予定は特別プランしているわけではありません。しかし、人生いつなにが起こるかわからないので、その時その時で感じるものがあれば行動に移すと思います。TASAKIの話がきた時もそうだったように。自分にとって、人生とは学んでいくもの。これは自分の哲学でもあります。この数年でTASAKIの仕事をきっかけに非常に多くのことを学びました。大切なことは、パーフェクトになるためのプロセス。試行錯誤してカタチにすることが重要だと思います。失敗したものが美しい場合も往々にしてあります。それがデザインする上で最も楽しく、そして興奮する瞬間です。【岩田奈那】(c)MODE PRESS

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