【11月28日 AFP】古新聞やプラスチック製の袋、不要となったCDやペットボトルのふたなどを素材にした衣装の制作を続けるボリビア人ファッションデザイナー、マリオン・マセド(Marion Macedo)さんの作品が、世界各地で行われるファッションショーのキャットウオークで異彩を放っている。

 マセドさんは2005年を皮切りに、これまでパリ、東京、マドリードなどの数々のファッションショーで作品を発表してきた。今月17日には祖国ボリビアのラパス(La Paz)で、「あなた自身をリサイクル」と題した7回目となる単独のショーを開催した。

■家庭ごみが1週間でドレスに

「ごみ」を再生利用し、手作業で約1週間かけて仕上げられた一点もののドレスは各250ドル(約1万9500円)。その一つ、白い手編みドレスは、古紙を素材としたボディーに、襟まわりとすそにはピンク色のプラスチック製の袋で作られたフリルがあしらわれていた。ほとんどが、マセドさん自らが大きな編み針を使って編み上げたものだ。 「古紙以外にも、染料に野菜を用いたり、カカオ豆の殻を使ったりする。自分たちで天然素材の接着剤も作っています」。マセドさんが目指すのは「エコロジー的に可能な限り純粋であること」だ。自分はアマチュアデザイナーだと語るマセドさんは、作品に用いる素材や家庭ごみなどは、自分で購入しており、写真家の夫が捨てたCDも素材に生かしている。

 今回のショーで、マセドさんは初めて複数の企業スポンサーを得た。マセドさんはこの機会に飛びつき、素材に用いる「ごみ」にもスポンサー企業の製品を採り入れた。例えば、トップスには炭酸飲料ボトルのふたをちりばめ、スカートは「コカ・コーラ」のロゴ入りの真っ赤なポリシートで作った。同様に、スポンサーの地元ショッピングモールの紙チラシからもブラウスを作った。古いCDで覆われたワンピースを着たモデルが登場すると、ショーの会場からは拍手がわいた。

■中流女性たちからオーダー、ウェディングドレスも

 実際に着ることよりも展示することを念頭にして制作されたマセドさんの作品について、仲間のデザイナー、クラウディア・ペレス(Claudia Perez)さんは「ファッションというよりもアート」だと語った。主にショー向けのデザインであることはマセドさんも認めているが、ドレスだけでなくショールやスカーフ類にもオーダーがきているという。マセドさんの顧客の大半は、例えばマセドさんの作品で一番の売れ筋、再生素材手編みブランケットに50~100ドル(約3800~7800円)程度ならば出してもいいという中流層の女性たちだ。

 このほかにもマセドさんは、ウェディングドレスやカクテルドレスもオーダーメードで作っている。2008年には古紙から作った特注ウェディングドレスで結婚式を挙げた花嫁もいた。

 もともとマセドさんが学んだのは壁紙のデザインだった。だが、写真家の夫が紙だけで作られたスーツを着た被写体を撮影したことから、これがきっかけとなって服飾デザイナーとなり、2007年にはアルゼンチンに拠点のあるラテンアメリカ・デザイン協会(Latin American Design Association)の賞も受賞した。

■雨の日は避けるべき?

 しかし、誰もがマセドさんのデザインを高く評価しているわけではない。

 フリーランスのライターたちによる人気サイト「ギャザー(Gather)」にファッション記事を寄せているクリスティナ・ウェスターベルト(Krista Westervelt)さんは、マセドさんの2010年のショーを酷評している。「ほとんどの作品は、近所の小学校の工作展覧会みたい。紙の帽子は晴れの日はいいかもしれないけれど、これをかぶって雨にぬれたくはない。みなさんはぬれた段ボールの臭いを知っている?ひどい臭いよ」 (c)AFP/Gerardo Bustillos

【この記事の写真ギャラリーを見る】