【10月17日 AFP】スーパーマンはフィリピンにいる――アメリカンコミックのヒーロー、スーパーマンに似せるために度重なる整形手術を行ってきたハーバート・チャベス(Herbert Chavez)さん(35)なら、そう答えるだろう。

 ファッションデザイナーのチャベスさんは、勤務時間中はメガネをかけてドレスのデザインをしている。だが自由時間には、自作のマントとタイツ、それにショーツをまとい、スーパーマンに変身する。

「ぼくはスーパーヒーローにあこがれている。スーパーマンになれて幸せだ。それに、フィリピンの人びとに、フィリピンにスーパーマンが暮らしていて直に会って話せると知らせることができて、いまも幸せだ」と、チャベスさんは自宅でAFPの取材に語った。

■あこがれを求めて美容整形

 チャベスさんが、クリプトン星からやってきたスーパーマンを愛するようになったのは子どものころだった。今では、スーパーマンのフィギュアからマネキン人形、ポスター、漫画、マグカップ、カーテン、ラグ、シーツ、枕、ゴミ箱まで、大量のコレクションを所有している。

 にきびだらけで浅黒い肌の青年だったチャベスさんは、1998年ごろからフィリピンの美容整形外科を訪れるようになり、スーパーマン役として最も有名な故クリストファー・リーヴ(Christopher Reeve)に似せるよう努力を始めた。

 今では衣装を着るとスーパーマンそっくりだが、チャベスさんは、あともう少し手術をしてもっと似せたいと語る。

 次の予定は、6つに割れた腹筋を入れることだ。茶色の肌を白くするための薬は、今後も続けていく。だが、身長に関してだけは、すでにあきらめたという。

■ビジネスでも成功

 独身のチャベスさんは最低週に一度、スーパーマンの衣装を着る。コスプレを楽しむ仲間と集まるときに着ることが多い。自分の趣味について笑う人もいるだろうが、個人の判断は尊重すべきだ、とチャベスさんは語る。

 チャベスさんは、スーパーマンの衣装を着ていないところで成功も収めた。「ぼくをクレイジーだと思う人はいるだろうけれど、ぼくは毎日働いてるんだよ」とチャベスさん。

 22歳から3年間サウジアラビアへ行き、王族のためにドレスを作る仕事で一儲けした。帰国したチャベスさんは、マニラ(Manila)から南へ車で1時間ほど行ったカランバ(Calamba)の自宅そばに、地元の映画スターやセレブ向けに衣装を提供する店を開いた。また、子役や美人コンテスト出場者の指導もしているという。

■「仲間に迷惑をかけなければ」と父親

 チャベスさんの父親は、チャベスさんの趣味について「仲間に迷惑をかけない限り、私たちには問題ない」と語る。

 地元のタクシー運転手は、チャベスさんのコスプレについて、「100%のコピーだよ。ただ身長が低い」と述べ、「でも中には偏狭な人もいる。そういう人は、彼は頭がおかしいと考えるんだよ」と話した。(c)AFP/Cecil Morella

【動画】コレクションを紹介するチャベスさん(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)