【6月13日 AFP】シンガポール生まれのバッグブランド「クワンペン(Kwanpen)」が、有名ヨーロッパブランドが独占するラグジュ アリー市場で健闘している。

 「クワンペン」の人気商品は、色鮮やかなクロコダイルレザーのバッグ。シンガポールの工房では、高い職人技巧と希少性を求める女性声にこたえるため、約50名の職人が細心の注意を払いながらバッグを製造している。

 家族経営の「クワンペン」は、電子機器や石油化学、金融などで知られるシンガポールにおいて数少ない高級レザーブランドだ。レオナード・クワン(Leonard Kwan、60)社長は、「クワンペンは、大量生産品ではありません」と語る。「クワンペンは、最高の品質と価値を備え持ったクロコダイルのバッグを意味するのです」

■父から学んだ技を活かしたバッグ

 クワン社長の亡き父は、シ ンガポールに赴任した駐在員を相手に、皮革製品の修理や研磨をして生計を立てていた。その手伝いをする中で、クワン社長は幼い頃から手工業の技術を身につけ、10歳の頃には、ベルトや時計のバンド、靴などの基礎を熟知していた。母は、クロコダイルの皮を切るための重いナイフを操る幼いクワンのことを心配していたという。

 父が立ち上げた小さなビジネスは順調に成長。1970年代半ばには小売店のためにクロコダイルのバッグを製造し、西洋のトップブランドのための商品を手がけるほどになった。国内に クワンペン第一号店がオープンしたのは1976年のことだった。

■家族で厳しく商品管理

 それから現在まで、クワン 社長と弟は、品質管理から材料の調達まで製造工程の各段階で密接に連携をとりながらブランドを運営してきた。もし欠陥品があれば、「同じ失敗を繰り返さな いよう、兄弟で問題点を追求します」とクワン社長は語る。

 また、社長自ら地元の皮な めし工場に出向き、クロコダイルの皮を買い付ける。「バッグを作るためには、最適な皮革を選ばなければいけない。それを見つけるのは容易ではありませ ん」とクワン社長は語る。バッグをひとつ製造するのに50時間かかるため、月に製造されるバッグはわずか400点ほど。生産規格を維持するため、発注を断ることもある。

■世界からも高い評価

 その技術は世界からも高く 評価されている。契約上ブランド名を明かすことはなかったが、現在「クワンペン」はヨーロッパを代表する高級ブランドと契約し、バッグの製造を行っている という。

 急激な経済成長とともにラ グジュアリー市場が拡大するアジアでも、ブランドの人気は上々だ。現在は香港に5店舗を展開し、中国でも一流のショッピングセ ンターに出店している。香港のショッピング モールを訪れた顧客は「素晴らしい作品です。使われている皮革は、最高級のものです」と賞賛する。また、中国のトップ女優コン・リー(Gong Li)が「クワンペン」のバッグを手にした姿も目撃されている。(c)AFP/Bernice Han

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