【5月13日 AFP】急速に成長する中国市場に向け、多くのラグジュアリー・ブランドがショーやキャンペーン広告にアジア出身のモデルを起用している。

■アジアン・ビューティーの台頭

 中国出身のリウ・ウェン(Liu Wen、23)は、今やアジアン・ビューティーをリードするスーパーモデルに成長した。09年にはアジア系として初めて米ランジェリー・ブランド「ヴィク トリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)」のショーに登場。さらに10年には、化粧品ブランド「エスティ ローダー(Estee Lauder)」の女性キャンペーンモデルに起用されたが、これもアジア女性初の快挙だ。

 リウと同じく中国出身のシュウ・ペイチン(Shu Pei Qin、21)は化粧品「メイベリン ニューヨーク(Maybelline New York)」や、米アパレル大手「ギャップ(GAP)」の広告モデルとして活躍。また、フィリピン出身のダニカ・マグパンタイ(Danica Magpantay)は、今年1月に開かれたモデル事務所フォード(Ford Models)主催のモデル・コンテストを制し、翌2月にはニューヨーク・コレクションのランウェイに登場した。

■中国市場進出に向けて

 この傾向について、上海に拠点を置くチャイナ・マーケット・リサーチ・グループ(China Market Research Group)のショーン・レイン(Shaun Rein)マネジング・ディレクターは、「賢い企業は、中国市場に進出するため、より馴染み深いアジア人モデルを起用しています。そうすることで消費者 と感情的に結び付き、『自分たちもこうなれる』という憧れや強い願望を持たせるのです」と分析する。

 コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers)は、2015年には中国がファッションや化粧品、腕時計などの商品の最大の購入国になると予想している。「世界的な有名ブランドの運営を継続したいので あれば、中国人顧客のニーズに応える製品や広告が必要とされます。そうしなければ、ブランドは失敗に終わるでしょう」とレイン氏は語る。

■アジア男性にも注目

 アジア女性のみがファッション業界で注目されている、という訳ではない。今年1月には、台湾出身でカナダ育ちの俳優カオ・イーシャン(ゴッドフ リー・ガオ、Godfrey Gao)が、アジア人男性として初めて「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」の広告モデルに起用された。

 これについてレイン氏は、「中国市場での売上拡大を狙うルイ・ヴィトンのようなトップブランドが、アジア人をモデルに起用するのは当然のこと」と述べた。

■よりグローバルな印象を

 フランスの国際ビジネススクール「インシアード(INSEAD)」でファッションに関する調査を行っているフレデリック・ゴダール(Frederic Godart)氏は「欧米ブランドによるアジア人モデルの起用は、よりグローバルな印象を与えます」と分析。さらに「ファッションやラグジュアリー業界にいる全員が、今までと違う地域からのモデルを起用することで、より国際的でトレンディーに見せたいと考えているのです」と語った。(c)AFP/Susan Stumme

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