【6月1日 AFP】カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手がける「シャネル(CHANEL)」のミューズとして80年代に活躍し、「元祖スーパーモデル」と呼び名の高いモデルのイネス・ ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange、53)。昨年10月に出版したスタイルブック『ラ パリジェンヌ(LA PARISIENNE)』は、10万部の売上を記録し、ベストセラーになった。

■イネスのスタイルが話題に

 イネスは「シャネル」のミューズとして活躍した後、自身の名を冠したファッションブランドを創設。現在は、「ジャンポール・ゴルチエ (Jean Paul Gaultier)」「ロジェ・ヴィヴィエ(Roger Vivier)」といったブランドのコンサルタントとして活動している。

 パリを代表する女性のひとりであるイネスが執筆した『ラ パリジェンヌ』は、ワインレッドの表紙と手書き風のイラストが目印。ファッション業界での経験を活かした「パリジェンヌになる方法」のアドバイスや、お気に入りのカフェや店舗の情報が掲載されている。フランス語以外にも同書の英語版も刊行され、英国などでも話題になっている。

■実用的なアドバイス

 『ラ パリジェンヌ』には、イネスからの実用的なアドバイスが並ぶ。「クローゼットにブレザー、トレンチコート、ネイビーのセーター、タンクトップを備えて。黒のミニドレスやジーンズ、レザージャケットも忘れずに。基本アイテムに好みのアクセサリーを加えたら、最低限のワードローブを維持して、定期的にアイテムを整理しましょう」「それから、笑顔も忘れずに。笑顔があれば何でも上手くいくわ」

 40代に向けたセクションでは「自分自身のケアを怠らないで。30代の時にしていたスタイルを貫くのもダメ。あなたを即座に老けさせる原因になる」とアドバイス。50代を過ぎた読者には、「しわくちゃになったトロフィーワイフみたいになりたくなければ、毛皮は避けるべき」と告げる。

■モデルは実の娘

 書籍への反響について、イネスは「ベストセラーを望んで書いたわけではないわ」とコメント。「一般的に、フランス人女性はそれほどファッションに興味がないと言われているから、私の本がハリー・ポッターやキース・リチャーズの自伝より売れた、と聞いた時は本当に驚いたの」

 本に登場するモデルは、現在17歳になる実の娘Nine d'Urso。イネスはどこか誇らしげに「娘は、本物のモデルを起用するお金が無かったから彼女にモデルを依頼したと思いこんでいるわ」と語る。しかし、残念なことに娘はランウェイよりも学業の方に関心があるようだ。「彼女にとって、モデル業はつまらないことみたい」

■パリジェンヌとは・・・

 イネスは、パリジェンヌになるためには「ファッションにお金をかければいいというわけではない」と考える。「パリジェンヌとは、気持ちや精神の在り方の問題。多くの人は、大量にものを買おうとする。けれど『大量にものを買うのではなく、良質なものだけを買って』と伝えたい」

 さらに、「私は買い物中毒だけど、みんなはおしゃれのためにそこまでする必要はないわ」とイネス。また、「良質なバックやシューズに投資するのはいいこと。洋服に関しては、低価格の商品をうまく取り入れて」として、仏大手スーパー「モノプリ(Monoprix)」やメンズやキッズ売り場でのショッピングを提案した。

■モデル業にも精力的

 近年はモデル業にも精力的で、ジャンポール・ゴルチエ」や「シャネル」のランウェイでキャットウォークを披露。さらに、「ロレアル(L'Oreal)」のキャンペーン・モデルにも起用された。

 モデルとしての最盛期よりも現在の方が幸せを感じているというイネスは、「なんだか冗談みたいだけれど、本当の話なのよ」と語る。「彼らに『自分たちに偏見が無いことを主張するために、老婦人をモデルに起用するわけ?』って質問してみたの。そうしたら『全くそのつもりはない』って答えが返ってきたわ」(c)AFP/Robert MacPherson

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