【2月2日 AFP】ファストフード大手マクドナルド(McDonalds)の旧ソ連1号店となるモスクワ(Moscow)の店舗が1日、開店20周年を祝う記念イベントを行った。

 モスクワのプーシキン広場(Pushkin Square)に面した同店では、マクドナルドの当時の幹部が会見し、当時外界の情報に飢えていたソ連国民の間で一大センセーションを巻き起こし、冷戦終結の先触れとも位置づけられた1990年1月31日の開店について振り返った。

 マクドナルド・ロシア(McDonalds Russia)の創始者ジョージ・コーホン(George Cohon)氏(72)は、「開店前夜には、来店者が1人もいないという悪夢を見た」と言うが、ふたを開けてみると、極寒の中、開店前から5000人余りが列を作った。当時「グローバリゼーションのアイコン的存在で米国文化帝国主義の象徴」とも目されていたマクドナルドを経験した人は、その日1日だけで3万人を超えたという。

 コーホン氏は、開店許可を取り付けるまでの官僚たちとの長い戦いにも言及した。出店計画は1976年にさかのぼる。当初は、1980年のモスクワ五輪(Moscow Olympics)に間に合わせる予定だったが、1979年のソ連軍アフガニスタン進攻とモスクワ五輪への西側のボイコットにより、計画は後退を余義なくされた。

   「まず最初に、マクドナルドとは何かを説明しなければならなかった」と語るコーホン氏。ソ連への初出店が冷戦終結の一助となったと思うかとの質問には、「そうは思わない。わかっているのは、わたしたちは約束したことを実現し、ソ連における(資本主義の)先駆者になったということだけ」と答えた。

 ロシアは現在、マクドナルドの欧州部門において最も成長著しい市場となっている。1日あたりの来店者数は、欧州全体では1290万人、そのうちロシアだけで95万人だという。コーホン氏は、『To Russia With Fries(フライドポテトと共にロシアへ)』なる回想録を出版している。(c)AFP