【12月17日 MODE PRESS】毎シーズン、ヴィヴィットな色彩とグラフィカルなプリントがスタイリッシュなNYブランド「ティビ(tibi)」。デザイナーのエイミー・スミロヴィック(Amy Smilovic)は、ファッション業界では珍しく金融業界から華麗なる転進を遂げ、1997年にブランドを創業した。アーティストだった祖父と父の姿をみながら、美しいものへの興味と好奇心を持った幼少期。成長と共に、「美しいものに対する意識」と「ビジネス」、2つのバランスをうまくとりながら成功へと近づいてきた。そんな彼女が来日した際、新作について、さらには昨今の世界的経済不況についてなど多くを語ってくれた。

■来日の目的は?

 まず顧客と会ってコミュニケーションをとること。コーディネートの提案をしたり、スケッチをプレゼントしたり、、、、実際、どのような女性が自分のデザインした服を着てくれているのか気になるでしょ。それと同時に、日本のマーケットについて、より深く知りたい。日本で自分のブランドがどのような位置づけにあるのか現状を把握したいと思っています。

■日本人女性について・・・

 日本の女性はほかの国と比べてファッションに対し、実験的なことを好む傾向があると思います。特に30代~40代は、常に若い魂を持っている。これは非常に大切なこと。東京の街の面白さはそこにも理由があるのかもしれませんね。

■新作について・・・・

 今回の新作は庭と美しいものがテーマです。
コレクションを作り始めたとき、まさに世の中は世界的経済危機の真っ只中でした。しかし、そんな暗い風潮にファッションまで流されてしまうのはとてもナンセンス。こんなときだからこそ、明るくて楽しいものを提案したかった。

■世界的経済危機と騒がれていますが・・・・

 状況は徐々によくなっていると思います。
今回、我々はコレクションに取り掛かる際、コストの問題をあらためて意識しました。例えば、部分的に素材を変えたり、パーツを変更したり、、、、そういった作業は逆に私自身のクリエイティブを刺激しました。世の中の状況がどれだけ変わろうとも、クリエイティブに影響はないと思っています。もちろんお金があればなんだってできる。けれど、限られた環境の中で企画し、なにかを作り出すことは、決して悪いことではありません。

■日本ではファストファッションが主流になりつつありますが・・・・

 すべてはバランス。否定もしませんし、私自身もそういったブランドの服は着ますよ。ハイプライスとロープライスの両方をうまくミックスすることで、トレンドをうまく抑えられますしね。ただ、時としてファッションはその人が人生においてどうありたいかというスタイルをも表にあらわしてしまう。真の意味で、自分のスタイルを持った人というのは、物事を表面では判断しません。安い高いの問題ではなく、いかに価値ある人生を送るか、そのためには何が必要で何が不必要か、そこが非常にクリアです。そういった点において、tibiの顧客は非常にユニーク。彼女たちが人生に対して非常に高いモチベーションを持っていることを一人ひとりのスタイルから感じるとることができるんです。

■tibiが考える服作り・・・

 前職(金融業界)ではマーケティングにおいて非常に沢山の経験を得ることができました。そのなかでビジネスは世の中のトレンドに沿って変化するということを学びました。それらを踏まえ、女性がどのようなシチュエーションにどんな服を着ていくのか、どこで服を買い、どういったクオリティの服を求めるのか、そしてどんなシーンでその服を着るのか、、、などなど、もっとリアルな部分を緻密に計算しながらtibiは成り立っています。

■原点と今後の予定・・・

 すべての原点は、アーティストだった私の祖父と父。彼らの影響もあり、幼い頃から美しいものに対して私自身非常に興味がありました。しかし大人になるにつれ、その「美しいものに対する意識」とまったく逆に位置しているように思われる「ビジネス」、この2つを共存させることに面白さを感じました。これまでも服以外に、ホテルのプロデュースや家具やインテリアのデザインなど幅広く手がけてきましたが、今まで以上に来年もいろいろなチャレンジを続けていきます。(c)MODE PRESS/岩田奈那

■お問い合わせ先:03-3478-8088(イトキン カスタマーサービス)
tibi 公式サイト

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