【8月29日 MODE PRESS】「第35回神戸ファッションコンテスト2008」の第一次審査がパリ市内ショールーム「no season」を会場に行われた。斎藤統イッセイ ミヤケ・ヨーロッパ社・社長氏が審査委員長を務め、パリ初開催となるコンテストは、パリで活躍するファッション業界のプロフェッショナルにより、厳選な審査が繰り広げられた。  応募者245名の中で、最終審査に残ったのは22名。斎藤氏は「全員一致で、妥協の無い審査を行った結果、通常の25名ではなく22名だけの作品を選びました」。数ではなく質の高い作品だけを残したことで、「実際の服を早く見たい」と審査員が口を揃えた。 ■バラエティーに富んだ審査員の顔ぶれ  審査員には、デザイナーとしてパリコレクションで活躍する「ギ・ラロッシュ(Guy Laroche)」のマルセロ・マロンジュ(Marcel MARONGIU)、「エス・オーケストル(ES ORCHESTRES)」の星野貞治(Sadaharu Hoshino)、デザイナーのセールスを担当するクリスティーヌ・マッザ(Christine MAZZA)とショールーム「no season」チーム、フランスオートクチュール・プレタポルテ連盟広報担当のジミー・ピエ(Jimmy PIHET)で構成。ファッション界の中でもジャンルの違う5人が集い、それぞれの視点で意見を交わした。  審査の基準は、インターナショナルなレベルでの、コンセプトの明確さと表現力の高さ。既に見たことのあるスタイルやテクニックの提案は、審査員が一致して好まなかった。逆に新しいアイディア、プロポーション、服にした時の面白さが決め手となった。  ピエ氏は「応募者の中で3名ほどは非常にレベルが高かった。素材選びや服作りでどう変わるか、今後が楽しみ」と語った。 ■ インターナショナルなレベルへ  斎藤社長は「世界に向けて飛び立つ人のために作られたコンテストは、始めからインターナショナルな視点で選ばれなければならない。ファッション都市宣言をした神戸が、日本のファッションを背負うために、型にとらわれない方法でコンテストの底上げを試みたい」と抱負を語った。また本コンテストの出身者でもあるデザイナーの星野は「ヨーロッパでは国策として、ファッションが教育から文化レベルで支援されている。神戸ファッションコンテストが明確なヴィジョンを基に、日本を代表するクリエイターを輩出する機関になって欲しい」と述べた。  審査員一同は、「神戸が関西圏のリーダーとして、パリと同じくインターナショナルなファッション都市になる可能性がある」と今後の発展を期待した。  最終審査は、12月14日、神戸市内の神戸ファッション美術館で行われる。22名の中から5名が選ばれ、フランス、イタリア、イギリスへの留学が決定する。(c)須山佳子