【パリ 1日 AFP】パリ・コレクション初日の29日、弱冠20歳のタイのSirivannavari Nariratana王女が手掛ける「Sirivannavari」がパリ・デビューを飾った。過去にバンコク・ファッションウィークへの参加経験がある王女は、パリ・コレクションに参加したのは「ファッション最高峰の舞台で行われているすべてを学びたいから」とコメントしている。

 パリのオペラ座で開かれたショーのフロントローにはタイ国王族やフランスの経済・財政相らが姿を現し、デビューを飾るにふさわしい豪華な夜となった。

■「タイ」と「ファッション」の関係

 この若きデザイナーを生んだタイ王室は、もともとファッションと密接な関係にあった。
1959年にタイを訪れたバルマン(BALMAIN)の創業者ピエール・バルマン(Pierre Balmain)は優雅で品位ある王宮に深く魅了され、帰国後にタイシルクを用いたエキゾチックなデザインを生み出したという。タイ王室に対する敬愛が身を結んでか、シリキット王妃(Queen Sirikit)がパリを訪れた際に、王妃のクチュリエとして御用命を受け長年王妃に仕えた。

■タイの歴史をモダンに解釈

 デビューコレクションのテーマは「Presence of the Past(過去の現前)」。祖母に当たるシリキット王妃の想い出や、タイの伝統的な衣装に現代のファッショントレンドを融合させた。

 膝部分にカフスがついているサルエルパンツや、ジョッパーズパンツにサロンを巻くスタイルなどには、アジアの民族衣装の要素が巧みに再現されていた。ギャザーを裾に寄せたバルーンシルエットのミニドレスや、背中に大きなドレープのあるルーズなチュニックなども登場。淡いアイボリー、肌色に近いベージュ、ねずみ色などのベースカラーに、ターメリックやサフランをイメージさせるような刺激的なスパイスカラーや高価なルビーを彷彿させる深紅などを差しこんでいく。

 シルクや紋織りのテキスタイル使い、金・銀の針金を編んだフィリグリー、パネルライン、ベルトに鏤められたトパーズなどの貴石使い。タイ王室の優雅さを改めて実感させるような細かいディテールも多く盛り込まれていた。

 ウェッジソールやプラットフォームシューズに填め込まれていた鮮やかな青い羽根は、「Sirivannavari」のブランドロゴにも引用されているクジャクの象徴であり、「幸運」を意味している。また、タイの伝統的技術を用い保存加工を施された甲虫の羽を使用した小ぶりのフリンジ付きクラッチバッグも登場し、伝統的かつ巧妙なテクニックがあらゆる場面にて見受けられた。

■今後はヨーロッパにも出店

 パリ・コレクションに再度参加したいかという質問に対し、「どうかしら。パリが私を認めてくれたなら出たいわ」とコメント。近日中にはバンコク市内にブティックをオープン予定。今後はヨーロッパにも出店する予定だ。(c)AFP