【テヘラン/イラン 25日 AFP】イランの首都テヘラン(Tehran)では23日から厳重な服装取り締まり運動が行われている。市内各地では、服装規定に反している女性たちを警官が呼び止める姿がみられる。

 注意する対象は「短すぎるマント」「短すぎるパンツ」「肌が透けて見えるストッキング」などの服装。中には、「指導巡回中」と書かれた黒いミニバスに乗せられる女性もいる。

■あくまでも言葉で指導

 この日は、髪がヘッドスカーフからはみ出ている少女がバスに連れて行かれた。女性は泣きながら「(服装規定を守ることを)約束します、約束します!」と叫んだという。

 ある女性警官は、「私たちはあくまでも言葉で指導している。だからバットも催涙スプレーも持ちません。最悪でも、ミニバスに連行するときに『腕をつかむ』程度」と語った。

■外出するのを嫌がる若者たち

 だが、事はそう簡単ではない。ある若い女性は「交通渋滞の解消など現実的な問題はたくさんあるのに、こうした取締りを優先している。無駄な出費だ」と警官に食ってかかり、ただちに警察に連行された。

 この取り締まりは4月に開始された「社会安全保障改善計画」の一環だが、「服装の取り締りよりも、貧困の解消や犯罪対策が先ではないか」と疑問視する声は少なくない。

 その1人、人気のコメンテーターFarzad Hasani氏は、自身のテレビ番組で「まるで人を“麻薬”のように扱っている」とテヘランの警察署長らを批判した。

 ある年配の女性は、次のように嘆いた。「若者たちは、警察への連行を恐れて、外出するのを嫌がっています。彼らに自由があると言えますか?」(c)AFP/Farhad Pouladi