【6月28日 AFP】ベルリン(Berlin)・シュプレー川(Spree river)の中洲に5つの美術館や博物館が集結するベルリン博物館島(Berlin Museum Island)の大改修計画の概要が27日、明らかになった。博物館島は、第二次世界大戦の戦火で崩壊し、その後旧東ドイツの管理下におかれ長い間放置されたままになっていた。

■5つの博物館や美術館をひとつの複合施設に

 博物館島の修復を担当するのは英国人の建築家デービッド・チッパーフィールド(David Chipperfield)氏。記者会見で発表した修復概要によると、5つの博物館や美術館を連結する役割を担う新たな建物「ジェームズ・サイモン・ギャラリー(James Simon Gallery)」が建築される。同ギャラリーは、5つの建物への入場口も兼ねる。ギャラリーの名前は、著名なユダヤ人美術愛好家にちなんだもの。

 新しいギャラリーのデザインは博物館島の5つの美術館の建築デザインを融合したものになるという。また、会議場や店舗も収容する。修復の総工費は約7300万ユーロ(約120億円)で、完成は2012年を見込んでいる。

 このほかにも同氏は、ペルガモン博物館の改装も手がける予定だ。戦前の輝かしい外観を復元する一方、内装はモダンなものにするという。ベルガモン博物館は、古都バビロンのイシュタル門(Ishtar Gate)を復元展示していることで知られる。

■歴史的美術館に新たな歴史が

 1999年にユネスコ(UNESCO)の世界文化遺産に登録された博物館島には、ベルリンの人気観光スポットのひとつであるペルガモン博物館(Pergamon Museum)、ボーデ博物館(Bode Museum)、旧国立美術館(Alte Nationalgalerie)、新博物館(Neues Museum)や3400年前のネフェルティティ(Nefertiti)胸像が収蔵されている旧博物館(Altes Museum)がある。

 ベルリン博物館島の起源は19世紀にさかのぼる。当時のプロイセン王国フリードリッヒ・ヴィルヘルム4世(King Frederick William IV)が、同島を美術振興の地に指定した。

 博物館島は旧東ドイツ側に位置していたが、1989年のベルリンの壁崩壊に続く、東西ドイツ統一後、数億ユーロの費用をかけてドイツ政府により大規模な修復作業が進められていた。この時まで、第二次戦時の爆弾跡が残っていたという。

 ベルリン市によると、修復工事が終了すれば、博物館島は世界最大の博物館複合施設になるという。同市では、パリ(Paris)のルーブル(Louvre)美術館に匹敵する年間400万人の入場者を見込んでいる。(c)AFP