【東京 6日 AFPBB News】東京・六本木の国立新美術館で6月6日から8月13日まで、近年の建築とファッションの動向とその関係を紹介する「スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション(Skin + Bones: Parallel Practices in Fashion and Architecture)」展が開かれる。 

■ 最先端の建築とファッションを横断

 「共通の概念」「形態の生成」「構成の技法」「両者の融合」という4つのパートに分けられた展示会場には、1980年代以降に発表された、21か国44組の建築家・ファッションデザイナーの作品約230点が展示される。 衣服、建築の模型や写真、映像といった多様な作品を一堂に展示することで、これまで同時に語られることが少なかった建築とファッションの共通性を感じてもらおうという試みだ。

 建築ではフランク・ゲーリー(Frank Gehry)、ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)、伊東豊雄(Toyoo Ito)、ファッションデザイナーではフセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)、ヴィクター&ロルフ(Viktor & Rolf)、コム デ ギャルソン(Comme des Garcons)などの作品が並ぶ。例えば、「ドレープをつくる」というテーマで構成された空間には、建築家、坂茂の「カーテンウォールの家」の模型と、ファッション・デザイナー、山本耀司のドレス(2006年春夏コレクション)が展示されるといった構成になっている。

■日本人建築家、デザイナー作品を充実

 本展は3月までロサンゼルス現代美術館(MOCA)で開催された企画展に、日本向けのアレンジを加えたもの。世界的に活躍する建築家妹島和世+西沢立衛/SANAA、伊東豊雄、坂茂らの建築模型や、A-POCの「KING&QUEEN」など日本勢の作品を加え、展示を充実させた。

■インタビュー:ブルック・ホッジ(Brooke Hodge)ロサンゼルス現代美術館学芸員(MOCA

 ファッションと建築には「構成」「構造」「ヴォリューム」といった多くの本質的な共通点があります。どちらも人間の身体をベースに発展し、身体を守るシェルターとしての保護機能を持ち、自己表現手段としての役割も担ってきたのです。

 1980年以降になると、両者は本質的な点だけでなく、デザイン面でも共通手法を取り入れ刺激し合いながら発展を遂げてきました。技術の革新により衣服のように複雑なフォルムを持った建築が生まれ、同時にファッションの分野では構築的な要素が重要視されるようになったのです。今回の展示会を通じて、この2つが異なるものでなく近似した存在であるということを感じ取っていただければと思います。

 今までは本の中でしか目にすることの無かったような貴重な作品を多く展示しています。いつ見ても非常に斬新で、新鮮な驚きを与えてくれるので、デザイナーや建築家を目指す方には是非お勧めしたい。デザインの歴史や伝統に触れることは、クリエーションをする際にとても大切なことです。

 7年前にハーバード大学で川久保玲とコム デ ギャルソンの企画展を開きました。その時から、コンセプチュアルな側面と高いクオリティを持ち合わせた日本のデザインに惹かれていました。今回紹介した44組のうち9組は日本人デザイナーや建築家です。展示会では紹介できませんでしたが、ミナ・ペルホネンやアンダーカバー、コズミック・ワンダーなどにも注目しています。(c)AFPBB News

会期:2007年6月6日(水)から8月13日(月)、火曜日休館
開館時間:午前10時から午後6時(金曜は午後8時まで)

※国立新美術館講堂で無料講演会が開催

6月9日(土) 14:00-16:00「スキン+ボーンズ─建築とファッションにおける近似性」
ブルック・ホッジ氏(ロサンゼルス現代美術館学芸員、展覧会企画者)
先着300人、要入場券

7月7日(土)14:00-16:00「スキン+ストラクチャー」
伊東豊雄氏(建築家)
先着250人、13:00から講堂前にて整理券を配布予定、要入場券