【テヘラン/イラン 23日 AFP】イスラムの服装規定にそぐわない身なりの人々を対象に、イランでは毎夏恒例の取り締まり運動を実施している。当局が21日に出した情報によると、すでに数千人の女性に指導を行い、拘束された者も十数人ほど出ている。

■服装規制でモラルの改善を目指す

 この取り締まりでは、ぴったりとしたコートや短すぎるパンツ、スカーフをきちんと被っていない女性などが対象。このような服装規定への違反が見つかると、指導と注意が実施される。抵抗する女性は拘束され法的手続きが行われる。「道徳を維持することで、社会の安全をより確保すること」が目的で、「取り締まりの期間は、不適切な服装がなくなったと判断されるまで」だという。

 テヘラン市警察のメフディ・アフマディ(Mehdi Ahmadi)署長は、「21日の午前10時から始まった取り締まりでは、1347人の女性が注意と指導を受けた」とAFPの記者に説明した。さらに「拘束したのは170人、そのうち58人が誓約書にサインをし、服装を正してから釈放された。残りは、法廷へ送られることになる」。また、こうした「不適切な」服を扱っていた20店舗も閉店を強いられた。

 21日発行の地元紙には、体のラインが見えるコートやカラフルな服を着ている女性が、チャドル(頭からつま先までを覆う黒い布)を着た女性警察官に注意を受ける写真が掲載された。

 政府は、この運動が人々を拘束することなく、指導によって正しい服の着用を促したいとしている。最近は、服装規定を大幅に破る女性が増えており保守派はこの取り締まり強化を大いに歓迎している。

■変化するイランに警告する保守派

 1979年に起こった革命後、イランの女性たちはイスラム体制下で、体のラインを強調しないようゆったりとした服を身につけ、スカーフで髪の毛を覆うことが再び義務づけられた。外国人観光客や非イスラム教徒も、この規則に従うことが求められる。2005年6月の政権交代後は、服装規制がさらに厳しくなることが予想されていたが、特に厳しくなる様子はなく、革命当時のような女性を強制的規制は少なくなっていた。

 今回の規制強化について、強硬派の日刊紙ケイハン(Kayhan)紙の社説は、「国民はあなた達(警察)を支持している。家族を思わず盗みを犯す者、子供の薬物乱用を嘆く親はあなた達を支持するだろう」と述べ、厳しく対応するべきだと示唆している。

 また、エトマッド(Etemad)紙によると、同国議会の文化委員会のメンバーである、ムハンマド・タギー・ラハバール(Mohammad Taghi Rahbar)氏は、「女性の服装に対するさらに厳しい規制が必要とされている」と述べ、「イスラム政府にとって現在の状況は恥ずべきもの。自分の妻が規定に合った服装をするよう注意しない男性は、家族の基盤を破壊しかねない」と警告する。

 服装の取り締まりは男性も対象で、ぴったりとしたスポーツウェアを着用している者や、大げさな髪型をしている者も注意を受けることになっている。

テヘラン市内で、服装と髪型についての注意を受ける女性と警察官(左)。4月22日撮影。(c)AFP/STR