【パリ/フランス 4日 上間常正】07年秋冬パリ・コレクションは終盤7日目の3日、エルメス(HERMES)やクロエ(Chloe)、またケンゾー(KENZO)、ジョンガリアーノ(JOHN GALLIANO)など10のショーが開かれた。エルメスではデザイナーのジャンポール・ゴルチエがこれまでの乗馬服スタイルから新たにエレガントなライダーズルックを提案した。新デザイナーが就任したクロエもこれまでとは一味違うテーストを打ち出した。

■エルメス(HERMES

 ランウエイの袖にハーレー・ダヴィッドソンの大型バイクが置かれ、会場にはこのバイク独特の低くうなる排気音が流れた。音楽も「Born to be wild」……。今回のコレクションのライトモチーフは、エルメス伝統の乗馬から現代的で力強いオートバイに変わった。

 冒頭に登場したのは黒のライダーズジャケットとぴったりした革パンツ、ブーツ。典型的なライダーズルックだが、上質でしなやかな素材とゆるみのないシルエットにデザインされているため、見たことのないような新鮮なスタイルに見えた。最初のライダーズルックがやがてシルクサテンやファーなどの素材と組み合わせられながら、徐々にいかにもエルメスという上品でシックなスタイルに落とし込まれてくる。

 どこかライダーズの雰囲気のあるこげ茶のクロコのロングコートもこのコレクションの中では全く新しいエルメスルックといえそうな落ち着た上質感と面白さが感じられた。両側から手を入れられるマフのようなバッグや新たな大型バッグのデザインも楽しい。デザイナー本人はショーの最後にこの大型バッグを肩に提げて登場した。

 そのゴルチエはこの新作コレクションで、新たなエルメススタイルを打ち出し、同時に、黒の色使い、力強さとエレガンスの融合、そしてクラシックの現代的リヴァイズといった今シーズンのパリのトレンドを一気に代表することに見事に成功したようだ。それだけ見ごたえのあるショーだった。写真は新作を披露するモデル。(c)AFP/PIERRE VERDY
  • 【Hermes】ブランドトップへ
  • 【07/08年秋冬パリ・コレクション 】トップへ