【パリ/フランス 28日 上間常正】パリはいまでもファッションの実験場だった。07年秋冬パリ・コレクションでは2日目の26日、オランダ出身の人気ブランド、ヴィクター&ロルフ(Victor&Rolf)が、暗闇の中でモデル一人ひとりに照明ランプと音楽スピーカーを身につけて登場させた。日本のアンダーカバー(UNDERCOVER)は、ニットとハイテク素材を新しい手法で融合させた。前衛派のマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は服作りの独自の構成をさらに進化させたシンプルで美しい服を発表した。同じベルギー出身のA・F.・ヴァンデヴォルスト(A.F. Vandevorst)は、パリ伝統のエレガンスとは別の内省的でフェミニンな女性像を表現した。

■アンダーカバー(UNDERCOVER)

 前シーズンは「エレガンス」をテーマにしたドレスだったが、今回は素材と機能にこだわったシンプルでスポーティーな服になった。一見なにげないように見えるグレーのジャージーのスエット&パンツにも最新の保温素材が裏に貼り付けられている。

 表の素材もウール、チュール、ジョーゼットなど異なる素材が複雑な切りかえで構成され、ディテールの細かいプリーツや刺繍にもこのブランドらしいこだわりが感じられる。ラインはスポーティーだが機能的なスポーツ服とは全く違うエレガントなフォルムとシックな色使いで、前回のエレガンスへの挑戦がたくみに生かされている。

 「ニットとハイテクの融合。温かさと冷たさみたいな」とデザイナーの高橋盾。今回の作品は、高橋が以前にめざしていた「一見ふつうだが、見たことのない服」の理想をパリの経験を経て久々に見事に実現した服といってよい。

写真は、26日に新作を発表したアンダーカバー(UNDERCOVER)の新作を披露するモデル。(c)AFP/FRANCOIS GUILLOT
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