【2月25日 marie claire style】生涯パリを撮り続けたロベール・ドアノーの、「音楽」をテーマにした展覧会が開催中だ。街角やキャバレー、アーティストの写真にパリの空気を感じて。

《パリ市庁舎前のキス》など、時代を超えて愛される写真を残したロベール・ドアノー。展覧会「写真家ドアノー/音楽/パリ」には、1930年代から90年代にかけて撮影した「音楽」にまつわる作品約200点が揃う。パリ19区にある"フィルハーモニー・ド・パリ"内の音楽博物館で、ドアノーの孫娘クレモンティーヌ・ドルディルが監修した展示を、日本向けに構成した巡回展だ。日本展を企画、制作した佐藤正子さんはこう語る。

「音楽を切り口にさまざまな仕事を紹介することで、"職業人ドアノー"の姿を見せる新しい視点の展覧会です。ドアノーは自身を芸術家と捉えず、職業写真家として生きた人。雑誌や広告の依頼で撮ったもの、日常で撮影したネガをエージェントに預け、新聞などで使用されたものが、時を経て作品として愛されてきました」

 ポートレートでもスナップでも、ドアノーは「その場の空気に溶け込んでいる」と佐藤さんは指摘する。

「被写体が撮られていることをあまり気にしていません。例えばビストロで写真を撮る時には、ドアノーは相手がカメラを気に留めなくなるくらい、一緒にお酒を飲んだりしていたそうです」

 エディット・ピアフ、ジャック・プレヴェール、イヴ・モンタン、マリア・カラスなど、音楽家のリラックスした姿もとらえている。数々の写真に、幸運な巡り合わせがあった。

「サン=ジェルマン=デ=プレのジュリエット・グレコと犬の写真は、グレコが歌手デビューする前に撮られたもの。ドアノーが犬を被写体に散歩していて、たまたまそこを歩いていた女性と一緒に写した、という作品なんです。デビュー後、ドアノーに再び撮影されたグレコは『歌手ジュリエット・グレコとして改めて撮ってもらえたことに、奇跡的なものを感じる』と語りました」

 27歳のバルバラのポートレートも、彼女が初めてステージに立った日に偶然写した、スター前夜の貴重な写真だ。《パリ祭のラストワルツ》は、最後に一枚残ったフィルムで撮ったものだという。奇跡のような瞬間を切り取ったドアノー。生涯パリを写し、作品を通してその時代のパリの空気を感じることができる。

「第二次大戦後、ナチスの占領から解放されたパリで、人々は貧しいながらも自由を喜び、歌ったり踊ったりしていた。その象徴が音楽だったと思うのです。ドアノーはその空気を写し取っています。ドアノー自身が、規範にとらわれず、自由を愛した人。だからこそ、彼の写真からは音楽が感じられるのかもしれません」

■展覧会情報
・「写真家ドアノー/音楽/パリ」
会期:~3月31日(水)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
主催:Bunkamura、読売新聞社
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_doisneau/

■プロフィール
佐藤正子
写真展企画制作。展覧会企画制作会社コンタクトを設立。ロベール・ドアノーの日本国内における著作権管理を行う。

■Present
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(c)marie claire style/interview & text: Saya Tsukahara