【11月18日 marie claire style】世界で最も著名なシャンパンメゾンと言えば、誰もが「モエ・エ・シャンドン」と口を揃えて答えるだろう。記事全文へ

【11月18日 marie claire style】世界で最も著名なシャンパンメゾンと言えば、誰もが「モエ・エ・シャンドン」と口を揃えて答えるだろう。世界中の人々を魅了し、一貫した品質と味を提供し続け、昨今ではサステナブルな取り組みで業界をリードしている。伝統と革新を融合させ、卓越したシャンパンの生産に努める唯一無二の存在であるメゾンの今を紹介する。

■「飲んだ後、女性を美しくするのはシャンパンだけ」
 1743年創業、フランス・シャンパーニュ地方エペルネに本拠地を置くモエ・エ・シャンドンの歴史はルイ15世の時代にまで遡る。当時国王の寵妃として政治にも文化にも影響力のあったポンパドゥール夫人は、王侯貴族社会にシャンパンの魅力を広めたことで有名だ。「飲んだ後、女性を美しくするのはシャンパンだけ」という美しい言葉を残したほどである。その後、皇帝ナポレオン1世が戦いの前後にエペルネのモエ家を訪れ、遠征の無事を祈り勝利の際には祝杯をあげ、18世紀末からはロシアやアメリカをはじめ国外貿易を積極的に開始する。

 今日、世界中で最も飲まれているモエ・エ・シャンドンの定番「モエ アンペリアル("皇帝"を意味する)」は、皇帝ナポレオンとの長年の関係に敬意を表して1869年に生まれたブリュット(辛口)シャンパンだ。当時まだ甘いシャンパンが主流の時代に、糖度の低いブリュットなスタイルを打ち出した革新的なシャンパンとして、その後の時代をリードすることになる。

 277年続くモエ・エ・シャンドンの現在のラインナップは大きく8種に分けられる。定番としてお馴染みの「モエ アンペリアル」と「ロゼ アンペリアル」、秀逸なブドウが採れた年だけに特別に造られる「グラン ヴィンテージ」と「グラン ヴィンテージ ロゼ」、世界のリゾート地で2011年にローンチされ、日本では15年に期間限定発売、16年から通年発売となった、氷を入れて完成する革新的な「アイス アンペリアル」と「アイス アンペリアル ロゼ」、そして甘味が魅力の「ネクター アンペリアル」とその「ロゼ ドライ」だ。

 シャンパーニュ地方で最も大きな敷地面積1190haの自社ブドウ畑を所有するモエ・エ・シャンドン。シャンパンには、自社畑と契約農家が育てた極上のブドウだけを使用。それらは、17のグラン・クリュ(特級畑)と31のプルミエ・クリュ(1級畑)に格付けされた最高品質の畑から収穫される。

 そして常に一貫した品質を保つモエ・エ・シャンドンのエレガントで芳醇な味わいは、ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネの3種のブドウを合わせることによって実現されている。

■醸造最高責任者、ブノワ・ゴエズ氏が語るメゾンのDNA
 2005年以来モエ・エ・シャンドンの醸造工程を指揮する醸造最高責任者のブノワ・ゴエズ氏は「モエ・エ・シャンドンの特徴的なスタイルはフルーティーさ、口の中に含んだ時のまろやかさ、そしてエレガントな熟成にあると言えるでしょう。壮大で優雅、そしてセクシーであることも特徴です。ただしすべての品質を決定するのは醸造前のブドウの品質が決め手になります」と断言する。「黒ブドウのピノ・ノワールはシャンパン全体の構造を作り、ムニエは優しさを、そして白ブドウのシャルドネはエレガンスを与えます。収穫の時期にはブドウの区画ごとに800種以上を味見し、ブドウの房、粒単位で丹念に選果します」。ただし、今年は通常9月中旬に行われるはずのブドウの収穫時期が異例の8月中旬へと前倒しになった。「我々は今、気候変動の問題に直面しています。雨が少なく暑い時期が長引くとブドウの酸味の欠落や過熟に繫がります。ここ15年は毎年の収穫状況に合わせて熟成期間を長くする等で調整していますが、中長期的に季節の変化に適応する手段を見つけ、備えることが目下の課題です」と語る。

■エペルネとパリで特別な体験を
 エペルネの本社を訪れユネスコ世界遺産に登録されたカーヴ(地下貯蔵庫)を見学できることをご存じだろうか。ビジターセンター内のテイスティングルームでのテイスティング、28kmに及ぶ巨大なカーヴに一歩足を踏み入れると、シャンパンの歴史と醸造工程がより深く理解できる。美しくひっそりと並べられたシャンパンボトルは、「モエ アンペリアル」で最低2年、「グラン ヴィンテージ」で5年から7年、このカーヴでじっくり時間をかけて熟成を待つ。運がよければ、二次発酵後、瓶の側面に沈積した澱を取るために1/8ずつ回転させるルミアージュ(動瓶)の作業が見られるかもしれない。

 本社から車で数分の場所には、1801年からモエ・エ・シャンドンが所有し、昨年リニューアルされたゲストハウス「シャトー・ド・サラン」がある。実はここは最も贅沢な体験が可能な場所なのだが、一般には公開されておらず、メゾンの大切なお客様をお招きするための特別な空間だ。11の客室はスイートルームのみで、クリスチャン・ディオール、ハリウッド、アンペリアル、ジャパンなど部屋ごとにテーマが決められ、内装はすべてテーマに沿って集められた貴重な調度品で飾られている。客室からは見渡す限り一面に広がるブドウ畑と美しい庭園、夜はお抱えシェフがその日の食材で考案する絶品メニューを味わい、シャンパンバーで夜空を見上げながら酔いしれる夢の時間が約束されているのだ。

 そして2014年からモエ・エ・シャンドンのアンバサダーを務める三ツ星シェフ、ヤニック・アレノのパリのダイニングレストラン「パヴィヨン・ルドワイヤン」(三ツ星)内には、ヴィンテージ シャンパンとのペアリング料理を楽しむ最大6名までの特別な個室「Inside」がある。軽いグルメアペリティフは145€から、本格的な8~10品のテイスティングメニューは700€からで、自由に決められる独創的な美食体験が楽しめる。なかなか飲むことのできない1992年や96年の「グラン ヴィンテージ コレクション」、2012年の「グラン ヴィンテージ ロゼ」等も堪能でき、シャンパンに合わせたモダンフレンチ料理が提案される贅沢なコラボレーションだ。

■自然への配慮、サステナブルなブドウ畑を目指す
 この先の未来も永続的に高品質なシャンパン・テロワール(土壌)を守るために、モエ・エ・シャンドンでは2014年からサステナブルな取り組みを実践している。まずシャンパーニュ地方で初の、ブドウ収穫時に使用するストラドルトラクターの電動化を始め、除草剤の使用を廃止し、農薬の使用を制限して、所有する土壌とその活動は環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の認定を受けている。現在は自社ブドウ畑以外の契約農家の関係者を定期的に招待して、持続可能な栽培方法を教育し、地域全体を、地球環境に考慮した安全な土壌に変えていくことを目指している。

■究極のシンプルさを追求
 モエ・エ・シャンドンの魅力を一言で表現すると「究極のシンプルさ」だと醸造最高責任者のゴエズ氏は言う。それは多くのステップと長いプロセスを経て造られるシャンパンが、その背景と多くの人々の努力を一切見せずに、ただシンプルであり続けることが究極のクオリティーなのだという。長い歴史の中で養われたシャンパン造りのノウハウとプロフェッショナルたちの結束があってこそ、ボトルを開けた時、シャンパン愛好家たちが期待する最高の品質と一貫性を常に保ち続けられているのだ。人々の祝福のシーンや人生の特別な瞬間に、いつもモエ・エ・シャンドンのシャンパンがある。今日もどこかで、誰かの喜びと人生の輝きを演出し続けている。

ブノワ・ゴエズ(Benoît Gouez)
モエ・エ・シャンドン醸造最高責任者
モンペリエ大学農学部卒業後、1999年モエ・エ・シャンドン入社、2005年に醸造最高責任者に就任。モエ・エ・シャンドンの明日を担い、11年には世界でも革新的な、氷を入れて初めて完成するシャンパン「アイス アンペリアル」を発表し話題に。

パヴィヨン・ルドワイヤン(Pavillon Ledoyen)
Carré des Champs-Élysées 8, avenue Dutuit 75008 Paris
Réservations:ledoyen@yannick-alleno.com
+33(0)1 53 05 10 00 yannick-alleno.com
シャンパンに合うモダンなフレンチ料理を提案。貴重なヴィンテージ シャンパンも味わえる

■お問い合わせ先
MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社/https://moet.com/ja-jp/contact-us

■関連情報
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(c)marie claire style/photos: Moët & Chandon / text: Keiko Suyama

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