【11月3日 marie claire style】パリ左岸のバック通りを挟んで、セーヴル通りに面し、2軒の建物からなるデパート、「ル・ボン・マルシェ」がある。記事全文へ

【11月3日 marie claire style】パリ左岸のバック通りを挟んで、セーヴル通りに面し、2軒の建物からなるデパート、「ル・ボン・マルシェ」がある。この「ル・ボン・マルシェ」 は、1830年代から変遷を経て、1852年にオーナーとなったブシコー夫妻が、大胆な改革を行い、世界で最初のデパートを創り上げた。そして、ブシコー夫妻は、お客の意向を理解し、新たな販売方法を試み、人気を得たのだ。

 フランス語の"ボン・マルシェ"は、安いと言う意味で、その名のとおり、開店当時は大きなショーウィンドウに商品を並べ、価格を安くおさえ、人気を得たそうだ。その後、年月を経て、「ル・ボン・マルシェ」は、お洒落で高級なデパートに変わっていった。

 1軒めの建物は、1872年にアレクサンドル・ラプランシュによって造られ、2軒めは1911年、シャルル・ボイローによって、完成された。

 ガラス張りの天井は、エッフェル塔を造ったギュスターヴ・エッフェルによるもの。この美しい建造物は、建物の真ん中に吹き抜けの大きな空間があり、エスカレーターが交差している。

 1軒めの建物の広い空間を利用して、展覧会、コンサート等、いろいろな催し物が行われる。アイ・ウェイウェイの素晴らしい作品が、この大きな空間に、飾られていた事があった。ブライアン・フェリーのコンサートが行われ、集まった人々は大盛り上がりしたこともある。

 長年にわたり、沢山の興味深い展覧会が、この空間を中心に行われた。カール・ラガーフェルド、マーチン・パー、ギイ・ブルダン、エレン・ヴォン・ウンヴェルト、ソフィア・コポラ、シャルロット・ペリアン、ル・コルビジエ、マルジャンヌ、サトラピ、カトリンヌ・ドヌーヴ、ロバート・ドアノー、プロエンザ・スクーラー、タダオ・アンドウ、アイリス・アプシェル、エドアルド・トレソルディ、ストロマエ等・・・そして、この広い空間の周りには、回廊があり、モード、アクセサリー、化粧品、子供服、本などの売り場と二つのレストランに通じている。

 現在では高級品を扱うデパートに変わった「ル・ボン・マルシェ」の地上階には、「シャネル」、「グッチ」、「プラダ」、「ルイ・ヴィトン」、「セリーヌ」等のブティックと、ハンドバック等のアクセサリー、化粧品が出店している。『マリ・クレール・スタイル』の、コレスポンダンスの須山佳子さんは、「Bijo(ビジョ)」という、日本の美容とライフスタイルテーマにした、ポップアップを、定期的に開催している。

 2階は、靴、ランジェリー、3階のモードの売り場には、世界各国の有名メゾンが並んでいる。最近、どのメゾンも、スチリストが新たになり、それを見るのが楽しく、私は頻繁に足を運ぶ。そして、次々と新しいメゾンも出現する。

 4階には、子供服、おもちゃ、本などがある。季節ごとに催しが行われ、クリスマスの時などは、近くに住んでいる私は、足繁く通う。フランスのクリスマスは、家族が集い、全員でプレゼントを交換し合うので、選ぶのが大変だ。

 もう1軒の建物の1階は、食料品売り場があり、新鮮な美味しい、食料が揃っている。肉は豊富な品揃えで、さすが肉食のフランス人と、思わせられる。チーズの種類の多さにも、びっくりする。もちろん、魚、野菜、果物も、新鮮なものが揃っていて、思わず、手を出してしまう。沢山の異国の食材も並んでいて、小さいが日本コーナーもあり、お醤油やお米などを購入でき、とても便利だ。

 大好きな、ヴェニスのチプリアニのパスタ、タグリオリニもある。コーヒーを飲めるスタンドがあり、ここのエスプレッソが、抜群に美味しい。あまり美味しいので、どうやって作るのか聞いたら、4種類のコーヒー豆を混ぜているそうだ。そう言えば、ラスパイユ通りのアーケードにある、ピエール・エルメのエスプレッソが、とても美味しいので、聞いてみた事があるが、やはり、4種類の豆を混ぜていると、言っていた。

 地下は飲み物売り場で、ワイン、シャンパン等の、豊富な品揃えがある。我が家では友人を招いて食事をする時のために、いつも何本かのワインと、シャンパンを、買い置きしている。ワインによっては、食事をする少し前に栓を抜き、空気を入れておかなければならない。

 2階の売り場は、食器、台所用品、家具、寝具、スーツケースなどがある。ひとつひとつの売り場は、さほど大きくないが、品揃えがとても良い。家具売り場には、ル コルビュジエ、シャルロット・ペリアン、チャールズ&レイ・イームス等の、素晴らしい家具がある。そして、真ん中の空間を利用して造られた、レストランがあり、とても美味しい!3階には、照明器具の売り場がある。

 すぐ近くに住んでいる私は、モードを見て楽しみ、食料品を買い、コーヒーを飲み、とても便利に利用している。沢山買い物をした時は、配達もしてもらえるし・・・

■プロフィール
山崎真子(Yamazaki Mako)仏版『マリ・クレール』元ファッション・エディター、副編集長。日本の美術大学を卒業後、一般企業に就職。1968年に渡仏。テキスタイル会社に勤務後、フリーのスタイリストとして活躍する。85年「マリ・クレール アルバム」社に入社。サラ・ムーンやピーター・リンドバーグなど一流のカメラマンたちと仕事を重ね、『マリ・クレール』の黄金時代を代表する作品を創り上げた。2014年に同社を退職。現在は執筆活動に従事。

■関連情報
山崎真子のTravail a Parisをまとめた特集ページはこちら
(c)marie claire style/text: Mako Yamazaki

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