【9月14日 marie claire style】フランス人は、自然が大好き!

 都会に住む人々は、週末になると、いっせいに田舎に向け出発する。記事全文へ

【9月14日 marie claire style】フランス人は、自然が大好き!

 都会に住む人々は、週末になると、いっせいに田舎に向け出発する。近郊に行く人、遠くに行く人、連休にはパリからコート・ダジュールのような遠くまで、足を伸ばす人もいる。

 長年パリに住み感化された私も、週末になると田舎に行く。田舎では、気軽に庭に出て自然に触れ、太陽と外気を満喫することができるから。近くの森や野原を散歩することも、大きな楽しみだ。時々、驚くような美しい夕焼けを見ることもある。

 印象派の画家クロード・モネの家のあるジヴェルニーの近く、パリから車で1時間の所に家があり、週末やバカンスには、家族や友人が集まる。みんなで食事を作り、それぞれが得意料理を、披露する。天気が良いと、少しくらい寒くても、テーブルと椅子を庭に並べ食事をし、バーベキューをすることもある。食後は長椅子で寛ぎ、太陽を浴びながらコーヒーを飲み、お喋りに花が咲く。子供たちは、庭を走り回り、戯れる。

 先日、田舎の家から車で1時間半の道のりの、ディエップの近くの海辺の街、プルヴィル=シュル=メールに行った。

 車で走っていると、道路の両側には、ジャン・フランソワ・ミレーの描いた『落穂拾い』を思わせる、きれいに刈られた畑が続いている。この絵は、穂を刈り取った麦を積んであるが、今は機械で束ねた、とても大きく丸い麦の茎の塊が転がっている。うねうねと続く畑や林を見ていると、フランスは多少の起伏はあるが土地が平なのだなーと、山の多い日本から来た私は思わせられる。

 この土地の豊かなフランスの食料自給率は、100パーセントを超えているそうだ。

 ドーバー海峡に面した北の町プルヴィル=シュル=メールには、新鮮なフリュイ・ド・メール(海の幸の盛り合わせ)を食べることができる、「L'Huitrière de Pourville」という、レストランがある。海の見える大きなガラス張りのレストランで、到着すると既に店内では、沢山の人が食事をしていた。幸いなことに予約をしておいたので、すぐ座ることができた。メニューはシンプルで、牡蠣、海老、魚が中心だが、子供用に、クロック・ムッシュ等もある。友人たちは、生牡蠣を注文した。生牡蠣の大皿には、フランスではビゴルノーと呼ばれる小さな海貝、ハマグリ、巻貝、小海老などが添えてあった。とても小さいビゴルノーは、尖った針の先で取り出して食べる。これらの魚介類には、レモン、マヨネーズ、酢などが付いてくる。私は、茹でたての温かいジャガイモが添えてある、3枚に下ろした油漬けのニシンと、オマール海老を注文した。取れ立ての、軽く茹でた新鮮なオマール海老は最高! よく冷えた白ワインと、とても合う。友人たちと上機嫌で食事をし、デザートのゴーフルをみんなで分けあい、エスプレッソを飲んだ。

 大満足でレストランを後にし、海に散歩に行った。海岸の砂はベージュ、目の前に広がる海の沖は、ターコイズブルーに輝いている。

 この海の向こうには、イギリスがあるのだと思い浮かべていると、80年代、車でロンドンに行った時、フェリーに乗り、海峡を渡った時のことを思い出した。

 ドーバーに着くと、すっかり夜になっていた。しかも、イギリスでは車は左側通行、右側通行のフランスから行った私は、とても戸惑った。危険すら感じた私は、高速道路を離れ、見知らぬ街に行き、ホテルを探し宿泊した。

 翌朝、ホテルの人に、「ここは、何という街ですか?」と尋ねると、「カンタベリーです」と言われた。チェックアウトし、表に出て少し歩くと、素晴らしい大聖堂があり、感激したのも懐かしい思い出だ。

 プルヴィル=シュル=メールの海岸の両脇には、何かで切り裂かれたような、白亜の高い崖が聳えている。この崖は、円石藻の化石からなる、ドーバー海峡特有の物だそうだ。以前この海岸は、海の底だったのでは、と思わせられる。大昔の地球は、今より沢山の水で覆われていたのだろう! 道路から海に下る急な坂は、石ころが広がっていた。私たちも、パラソルを広げ、タオルを敷き、石ころの海岸に座った。海から吹いてくる風が、なんとも気持ちが良い。浜辺には、海水浴、サーフィン、カイトボーディングなどをしている人々がいる。後ろには遊園地があり、子供連れも多く、賑わっている。滅多に来る事がない所なので、私は街中を散歩した。ノルマンディ様式の建物、壁に木が組み込まれた家を見る事ができ、嬉しくなった。久しぶりの海を堪能した後、カフェでお茶を飲み、再びゴーフルをみんなでつまんだ。

 夕暮れの綺麗な海を眺めながら、美味しい魚介類をいただきき、楽しく過ごした1日を胸に抱いて帰路に着いた。

■プロフィール
山崎真子(Yamazaki Mako)仏版『マリ・クレール』元ファッション・エディター、副編集長。日本の美術大学を卒業後、一般企業に就職。1968年に渡仏。テキスタイル会社に勤務後、フリーのスタイリストとして活躍する。85年「マリ・クレール アルバム」社に入社。サラ・ムーンやピーター・リンドバーグなど一流のカメラマンたちと仕事を重ね、『マリ・クレール』の黄金時代を代表する作品を創り上げた。2014年に同社を退職。現在は執筆活動に従事。

■関連情報
山崎真子のTravail a Parisをまとめた特集ページはこちら
(c)marie claire style/text: Mako Yamazaki

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