【9月10日 marie claire style】イタリアを代表する世界的デザイナー、ジョルジオ・アルマーニが4年前に誕生させた、タイムレスなワードローブを追求するコレクション「NEW NORMAL(ニューノーマル)」。記事全文へ

【9月10日 marie claire style】イタリアを代表する世界的デザイナー、ジョルジオ・アルマーニが4年前に誕生させた、タイムレスなワードローブを追求するコレクション「NEW NORMAL(ニューノーマル)」。コロナ禍の今の時代とリンクするこのコレクションを通して、ファッションの新しい未来が見えてくる。

「ジョルジオ アルマーニ」が「NEW NORMAL」という名の下に、その第一回のコレクションを発表したのは2016年のこと。ピーター・リンドバーグを起用したその広告キャンペーンには、1980年代にスーパーモデルとして活躍した個性の異なる40~50代の4人の女性を選び、美しさは年齢に関係なく存在するという考えを表現した。

 時を超えて常にエレガントで機能的、さらに現代のエッセンスも加えて安定した美の品質を提供する。それゆえに着手の個性が服の表情を変える。奇をてらうのでもなく、フォルムの妙を狙うのでもない、アルマーニの信ずる美しさの基本を揺らぐことなく表現するものだ。素材の中心はカシミヤ。暮らしの常識がどのように変化しようと、美意識の基本に則った上質な日常の服は常に人々を心地よく包み込む。アルマーニのこの信念こそが、ニューノーマルの魅力の源なのだと思う。

 そもそもニューノーマルという単語は2007-08年のリーマン・ショックを境に一般化したもの。これまでとは異なる新しい日常の暮らし、それに伴う習慣や意識の変化を意味する。

 1970年代に、それまでの構築的なジャケットから肩パッドと裏布を外して軽快な着心地を実現させたのがアルマーニだ。発表されるや瞬く間に一世を風靡し、世界中の人々がこのジャケットを着ることを夢見、そして着た。それまでの厳格な印象の上着とは別格の、機能的で洒落た日常着としての上着であった。ジャケットの新たな常識を生み出したという意味で、これは実は当時としてのニューノーマルの提案であったと言えよう。

 2020年2月、ミラノコレクション最終日、アルマーニは新型コロナウイルス感染を懸念して、無観客のショーでコレクションを発表した。その後、イタリアでは薬品やマスクと食料の買い出しを除く一切の外出が禁止された。3ヵ月間の完全封鎖を経て、人々の日常や意識は図らずも大きく変化した。今、我々はまさにニューノーマルの暮らしを生きている。

"立ち止まることの必要性"を説くアルマーニが、奇しくも世界の在り方が大きく変わったこの時期に先駆けて、コレクション「NEW NORMAL」を発表していたことの示唆するところも大きい。

text: Miyuki Yajima

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