【6月25日 marie claire style】1989年、アメリカ・テキサス州生まれ。10歳で映画デビューしたのち、モデルとして活動。高校卒業後に再び演技を始め、映画『ソーシャル・ネットワーク』に出演を果たす。2015年には『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』で主役に抜擢されると、体当たりの演技が大きな反響を呼ぶ。その後も『サスペリア』や『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』など、話題作への出演が後を絶たない。今、注目を集める人気女優、ダコタ・ジョンソンの素顔に迫る。

 30歳を迎え、女性としてもますます洗練されてきた女優ダコタ・ジョンソン。社会現象を巻き起こした大ヒット映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』で一躍脚光を浴びたのち、『胸騒ぎのシチリア』や『サスペリア』といった作品で存在感を光らせ、順調にキャリアを積んでいる。

 ヒッチコック作品の女優として知られる祖母のティッピ・ヘドレンをはじめ、俳優のドン・ジョンソンを父に、女優のメラニー・グリフィスを母に、そしてアントニオ・バンデラスを元義父に持つなど、取り囲む環境はとにかく華々しい。それゆえに、上品でありながら妖艶な雰囲気が自然と身に付いたのも頷ける。

 そんなダコタに対し、順風満帆なイメージを持つ人も多いかもしれないが、その裏では苦悩を抱えており、14歳の頃からうつ病と闘い続けていることを米国版『marie claire』誌で告白した。専門家たちからの助けを得るようになってから、「ああ、確かにこれは私が陥りがちなことだわ」と自覚できるようになり、今ではありのままの自分を受け入れ、自身に起こる症状ともうまく向き合えるようになったという。

「私の脳は毎分100万マイルで動いているような感じで、つねにたくさんの感情や考えが渦巻いているから、それらを頭の外に追いやるのは大変なことなの。私は多くの複雑さを抱えてはいるけれど、それをさらけ出したりしないし、自分自身で解決しているわ」

 両親の離婚や大きな環境の変化、病気のことなど、自分に降りかかる一連の出来事を乗り越えてきた経験、そしてそこで味わった緊張感こそが彼女をスクリーン上でより説得力のある存在にしているのだ。事実、これまでの作品でも、彼女が持つ温かさと共感力の調和によって生み出された演技で、難しい役の数々を演じ切っている。

 その一方で、昨年の秋にはNetflixの元幹部とともに、映画やテレビの制作会社「Tea Time Pictures」を設立。女優だけにはとどまらない才能にも、注目が集まっている。

「私は長い間、映画の仕事に携わっているけれど、作品に対して発言できずに蚊帳の外で傍観しているように感じることもあったわ。なかには、思っていたものとは違う作品にでき上がってしまって、納得いかなかったことも・・・。だからこそ、キャスティングや脚本といったプロジェクト全体の重要な決定にもっと関わっていきたいの。そして、私の技術や芸術性、さらにはアイディアが認められて、話題になってほしいと強く思っているわ。映画作りのプロセスの一部になりたいし、私には間違いなく審美眼があるはずよ」と仕事への強い意欲を見せた。

 最新作『The High Note(原題)』で共演した女優トレイシー・エリス・ロスも「彼女は情熱的で、物事を深く感じ取る一方で、遊び心があってとてもチャーミング。自分の立ち位置や自分自身がどんな人間かということを理解しているだけでなく、はっきりと意見を言うことも恐れていないのよ」とダコタのことを高く評価する。

 その言葉を裏付けるように、撮影現場では自身の演じたキャラクターにそぐわないと思うシーンについて、脚本家に率直な感想を伝えることもあったという。ダコタは仕事への向き合い方について、こう語る。

「私は仕事をするとき、絶えずそのことだけを考えていて、それがいつも頭の中で大半を占めているわ。もちろんすべてのプロジェクトが素晴らしいメッセージを持っているわけではないけれど、どんな作品にも、全身全霊を注ぐに値する何かがあるの。私にはメソッドと呼べるようなものはないし、それが必要だとも思わないわ。作品選びで大事なのは、直感的で感情的であることよ」

 これまでのダコタは、ミュージシャンで恋人のクリス・マーティンについてほとんど語ることはなかったが、今回のインタビューでは、クリスが所属するコールドプレイの楽曲「Cry Cry Cry」のMVで監督を務めたことを打ち明けた。そこには彼女ならではの感性が詰め込まれており、今後の幅広い活躍を予感させる。

 さまざまな作品や出会いによってさらなる成長を遂げているところだが、2019年に出演し、好評を博した映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(日本では2020年2月より公開)では、共演者のダウン症の俳優ザック・ゴッツァーゲンから人生観を完全に変えるほど大きな影響を受けたという。

「観客たちをよい気分にすること、そしてたとえ束の間であっても、彼らを映画の中の世界に引き込み、『自分の夢は夢ではないのかもしれない。もしかしたら・・・』と感じさせることは、本当に素敵なことだと思っているわ。これからも素晴らしい人たち、そしてよいものを作り上げようとする人たちと一緒に働くことが私の願いよ」
 
 どんな現場でも、貪欲に学び続ける姿勢を崩さないダコタ。自分が望むものを正確に把握しつつ、次の大きな目標に向かってすでに走り始めているようだ。

※記事内の商品価格はすべて、本体のみ(税抜)の価格です。

■関連情報
【無料ダウンロード】marie claire style PDFマガジンをチェック!
(c)marie claire style/ photo: Steven Pan / hair: Mark Townsend for Dove Hair Care at SWA Agency / make-up: Georgie Eisdell for Pat McGrath Labs at The Wall Group / manicure: Deborah Lippmann using Deborah Lippmann at SWA Agency / set design: Evan Jourden / production: Paul Preiss at preiss creative / interview: Justine Harman / translation: Junko Nakaniwa / text: Masami Shimura