【3月12日 marie claire style】日ごとに蕾が開いて甘い香りを放つ百合。20代の過渡期に、日常に小さな幸せを見つけようと部屋に百合を飾るのが私の習慣だった。時は流れ、経験を重ねる中で花の好みも徐々に変わってきた。目下、フラワーショップで手に取るのはバラ。そしてドレッサーの香水はバラに着想を得たものが増えていった。

 私がバラに惹かれる最たる理由は、その花が持つ多面性だ。優美であり気高く、官能的でいて孤独。それらを絶妙に表現している香りが「フレデリック マル」の"ユヌ ローズ"だ。

 ブランドの創設者で、香りの"編集者"として名だたる調香師たちとともにパルファムという芸術を数々創出してきたフレデリック・マルは、期限やコスト、原料にとらわれない自由なクリエーションを信条としている。バラが持つ力強さを、情熱的で果敢に生きる女性になぞらえた香りは、多くのアーティストたちがその解釈に挑み続けてきた"バラ"への確かな答えのひとつとなった。

 もうひとつ興味深い香りのツールを挙げるのなら「キリアン」の"ル ルージュ パルファム"だ。コニャック メゾンに生を受けたキリアン・ヘネシーが手がけるこのブランドは〝香りの可視化〞がコンセプト。欧州や北米で即完売となったリップはその名の通り、唇にさした瞬間、甘美な香りがパーソナルスペースに広がる。香りによって赤リップを引いている高揚感を何度も密かに思い出させてくれ、女性としてのこの上ない幸福を私に与えてくれた。

 今なお世界中で愛されるサン=テグジュペリの『星の王子さま』の作中では、愛する人の象徴としてバラが描かれている。私が卒業論文のテーマにしたこの物語は、今以上に社会が分断していた第二次世界大戦の最中に執筆され、愛や友情の必要性を説いた。他者を愛するには、まず最も身近な自分や特別な人を思い、小さな幸せを生み出すこと。調和と愛を奏でる一歩として、自分と周囲を美しい香りで包んでみてはどうだろう。

■お問い合わせ先
フレデリック マル、キリアン お客様相談室/0570-003-770

■プロフィール
小西俐舞ナタリー(Nathalie Lima Konishi)
フランス人の父を持つビューティアクティビスト。モード系美容誌編集を経て独立後、日本や海外の美容媒体をメインに、コレクション速報や取材現場で得た美容メソッドなどを中心に執筆中。レインボータウンFMのラジオ番組「Nathalie’s Beauty Talk」では第1土曜と第2木曜にフランスの最新情報などを紹介している。

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(c)marie claire style/selection, text, photo: Nathalie Lima Konishi