【3月12日 marie claire style】色鮮やかなカラーストーンの魅力を、ピュアで華やかな美意識でデザインして、世界中の女性たちの心を虜にしているマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのジュエリーは、従来の宝石が持つ冷たい石というイメージを払拭して、何か精神的なものが宿った繊細な装飾品として高く評価されている。現在パリ、ニューヨーク、東京、香港など、世界のどの都市でも、熱狂的な若い女性ファンに支えられている。

 1996年にパリでジュエリー・コレクションを発表して以来、その魅力的な作品だけでなく、クリエーター本人の美的センスにあふれたライフスタイルにまで注目が集まり、パリに暮らしながら、インドのジャイプールのアトリエで作品づくりをしているそのエレガントなスタイルに憧れる女性は、年々増えているという。

 現在、北青山にあるオンリーショップ「MHT東京」、そして新宿伊勢丹にも売り場を持つが、このところ一段と人気の高まりを見せているようだ。北青山の店舗は、世界のプロダクト・デザイン界のスーパースター、マーク・ニューソンが内装を手掛けたというスタイリッシュなショップだ。

 昨年12月初めに来日したマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックは、ニュー・コレクションの披露だけではなく、カラーストーンの魔術師として、洗練された才能の軌跡を辿ったこれまでの作品の集大成である、自身の一冊の美しいヴィジュアル・アート・ブックも紹介していた。先日、豪華なアート本で知られるリッゾーリ社で出版されたその本のサイン会がショップで開かれ、当日は若い女性ファンたちで長蛇の列ができていた。その夜のマリーエレーヌは鮮やかなレッドのドレスを着て、映画『華麗なるギャツビー』のヒロインさながらの雰囲気を振り撒いていた。

 東京滞在中の多忙の合間を縫って、マリーエレーヌとのインタビューを試みた。

「3年前から出版社と話し合って、準備を始めていたのですが、これまでの23年間のアーカイブを見直し、ストーリーを組み立てるまで、結構時間が掛かりました。すべて私一人で手掛けたのです」

 パリでも「センスのいいパリジェンヌ」と言われ、先進的な感性の持ち主として知られているので、どんなディテールも他人に任せることはできないのだろう。新刊の中では、彼女のパリの友人たち、『ヴォーグ』インターナショナルのハーミッシュ・ボウルズ、イネス・ド・ラ・フレサンジュといったセレブリティたちが文を寄せている。224ページの中には200点のカラー写真が入っていて、彼女のジュエリーの魅力を存分に伝えている。

「19世紀半ばに女性探検家、アレクサンドラ・ダヴィッド・ネールの書いた本を、17歳の頃に読んで夢中になり、チベットやスピリチュアルな世界に興味を持つようになったのです。彼女は仏教徒になっています。私は25歳の時に、インドのジャイプールに行き、その土地に何か運命的なものを感じて、住むようになりました」

 ミステリアスな光輝を放つインドのカラーストーンに魅せられたのは、それから間もなくのことだった。

 マリーエレーヌのジュエリーに最初に関心を示したのは、パリのトレンド発信基地として、90年代に絶大な人気を誇っていたコンセプト・ストア「コレット」だというので、幸運なスタートだったといえる。その後ニューヨークの「バーニーズ」からも注文が来るようになった。

 今年のニュー・コレクションは、虹や鸚鵡がテーマとなっていて、店内にはまばゆいばかりの色調の万華鏡の世界が広がっていた。

「ジュエリーを買う人たちも時代とともに変わってきていて、以前は男性が買って、女性にプレゼントしていたけど、今は女性が自分で買いに来る時代です。自立した女性は男性にもらうよりは自分で買いたいのです」

 時代感覚にも敏感なマリーエレーヌは、年末休暇の家族旅行も、CO2排出を憂慮して、「飛行機でなく、近いところに行きたい」と語ってくれた。

 女性が憧れるのも無理はない、とつい納得させられた存在だった。

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(c)marie claire style/text: Kasumiko Murakami