【3月4日 marie claire style】ジャンポール・ゴルチエが50年間続いたデザイナー生活に幕を降ろしました。「ゴルチエ パリ」オートクチュールコレクションの数日前、メールでゴルチエ本人からのビデオメッセージが届き「引退ショーはすごく楽しいから絶対来てね。キス、キス、キス!」と突然のお茶目な引退発表でした。

 会場はいつものショールームではなく、パリの歴史あるシャトレ座です。バルコンが5階までいっぱいのゲスト、2500名が招かれました。ステージにはオーケストラが並び、ボーイ・ジョージの歌から始まるというエンターテイメントです。喪服を着たモデルたちが運び込んできた黒い棺からフリルたっぷりのピュアな白いミニドレスを着たモデルが登場し、ショーはスタートしました。ユーモアたっぷりの演出です。

 ゴルチエは1976年デビュー以来、アンドロジナス(両性具有)をいち早くデザインに取り入れ、前衛的なデザイナーとしてモードを牽引してきました。今でこそ聞き慣れたジェンダー・フリュイドはゴルチエのデザインベースです。その反面、マドンナやディタ・フォン・ティースなどグラマラスな女性からも愛されてきました。

 ショーは今までのアーカイブをなぞりながら、ネクタイドレスやコルセットドレス、円錐形のコーンブラやボンデージ、マリンルックなどアイコンアイテムが次々と登場します。

 アヴァンギャルドなデザイナーとして常に話題になってきたゴルチエですが、実はトレンチコートとテーラードスーツのカッティングが美しい。

 サンローラン引退後、ミューズだったカトリーヌ・ドヌーヴは「ゴルチエ パリ」のフロントローの常連でした。フランスらしく、メゾンとしての「ゴルチエ パリ」は存続するそうです。そしてゴルチエ自身は何の束縛もない自由な活動をしてゆくそうです。フィナーレに登場した青いツナギのゴルチエはスタッフから胴上げされ、幸せそうに観客に手を振っていました。新しい分野での活躍が楽しみです。

(c)marie claire style/text: Terumi Hagiwara