■「フランスには感謝している」

 フランス人シェフを相手に、若い日本人シェフが相手の得意分野で、しかも相手のホームグラウンドで、より大きな活躍を見せているのではとのAFPの質問に、小林さんは事を荒立てないよう慎重に言葉を選びながら、次のように答えた。

「日本人を受け入れ、活動の場を提供してくれたフランスには感謝している」

 そして、日本人の料理人がフランスの伝統の中で150年近く訓練を受けてきたことにも触れた。

 事実、小林さんは新進フランス料理ヌーベル・キュイジーヌのパイオニア、アラン・シャペル(Alain Chapel)氏のドキュメンタリーを見たことをきっかけに、父親と同じ料理の道を歩むことを決心したのだという。小林さんの父親も料理人だ。

■「お見事と言うしかない」

 小林さんのレストランについては、料理界の最高目標である三つ星を得るのに十分な気品が備わっていないとの見方を示すフランス人美食家もいる。しかし、ミシュランガイドの「最大の敵」でさえも、ミシュランの調査員らの審査は適性だったとの考えを示している。2019年に三つ星から二つ星に格下げされミシュランを訴えた、いわゆる「チェダーゲート(Cheddargate)」事件で知られる著名なフランス人シェフ、マルク・ベイラ(Marc Veyrat)氏だ。

 ベイラ氏は小林さんについて、「お見事と言うしかない」と述べ、「小林さんのような人がここにいるのは素晴らしいことだ」と述べている。(c)AFP/Fiachra GIBBONS