【1月30日 AFP】日本人シェフの小林圭(Kei Kobayashi)さん(42)が、自身の考えを語る──それはフランスに赴いたからこそ身についたものだという。

 格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」フランス版で、小林さんが最高位の三つ星を獲得した初の日本人シェフとなってからまだ1日もたっていないが、仏パリに構えるレストラン「ケイ(Kei)」の電話は鳴りっ放しだ。

 少人数のチームスタッフが清潔な厨房(ちゅうぼう)内を忙しく動き回るなか、小林さんは熱っぽい語り口でAFPのインタビューに応じた。

「日本人は大抵、とても無口だ。だがそんなふうでは、フランスでは生き残れない」

 ここ数年、十数人の日本人シェフたちが、えり抜きのフランス高級料理界に新風を吹き込んでいるが、その多くは「柔和」を絵に描いたような人だという。おじぎをして、謙虚な感謝の言葉をたどたどしく一言二言述べてからその場を去るような人だ。

 だが、小林さんは違う。三つ星を獲得したミシュランの授賞式でも、自分がいかに気難しく、いかに多くを要求するかということを語っていた。

 金髪をジェルでまとめ、どこかエンターテイナーのような雰囲気のあるこの若きシェフは、チームスタッフに対する要求が非常に高いことを躊躇(ちゅうちょ)することなく認める。

 だが、以前はそうではなかったと述べ、フランスが自分を変えたのだと説明した。

 小林さんは、AFPの取材に「今はもっとストレートに言う。フランスの人のように、思っていることを口に出す」と語った。そして、広くはないが完璧に設計された厨房の中で大声で指示出しをしながら、「自分はとても難しい」と述べた。

「自分と一緒に働くのはストレスだらけだ。あらゆることに目を光らせてチェックする」

 決して「親しみやすい」とは言えないフランス人シェフと比べても、「自分は気難しいだろう」と小林さんは笑顔を見せる。