【12月13日marie claire style】ビューティ&ファッション界に革新をもたらし、常に進化を続けるシャネル。そのクリエイションの源とは。この秋、シャネルのクリエイションの源泉に迫る「マドモアゼル プリヴェ展」の日本開催に合わせ来日していた同ブランドのグローバル クリエイティブ リソース部門責任者トマ・デュ プレ ドゥ サンモー氏に、決して色あせないブランドの魅力について聞いた。

■新世代のフェミニティを体現する"現代のN°5"
いよいよ今年も心躍るクリスマスシーズンがやって来る。この時期、おしゃれする喜びをひときわ感じさせてくれるのが、各ブランドが発表するホリデーコレクション。シャネルからも、フレグランスを中心に2019年限定のアイテムが用意されている。

 シャネルの中でも最もアイコニックな存在といえば「シャネル N°5」。そのDNAを受け継いだ「シャネル N°5 ロー」は"現代のN°5"として新世代のフェミニティを体現する香りだ。ミューズを務めるのは、リリー=ローズ・デップ。ムービーを含む今シーズンのキャンペーンビジュアルでは、粉雪が舞う中、リリー=ローズがクリスマスを待ちわびるピュアなわくわく感をキュートに表現している。このクリエイションを指揮した人物こそが、グローバル クリエイティブ リソース部門責任者トマ・デュ プレ ドゥ サンモー氏だ。

■新たな解釈を象徴する若きミューズ
N°5といえば、過去にはカトリーヌ・ドヌーヴ、キャロル・ブーケ、ニコール・キッドマンら自立した女性像と時代性を併せ持つアイコニックな女性たちが”顔“となってきたが、2016年の新発表当時、リリー=ローズは17歳。デュ プレ ドゥ サンモー氏は起用についてこう話す。

「N°5のミューズに、これほど若い女性を登用したことは過去にありません。でも、フレッシュでいきいきとした新しい解釈のN°5にぴったりだと思います」

 シャネルの香水「COCO」のミューズだったヴァネッサ・パラディの娘でもある彼女の起用は話題を集めた。

「"伝統継承"を意識して起用したわけではありませんでしたが、彼女はシャネルとともに生まれたような女性。結果として、ブランドに対しごく自然に親密さを表現してくれました」

■赤いボトルは自由の象徴
シャネルの伝統と革新を象徴する存在ともいえる"現代のN°5"だが、2018年のクリスマスシーズンには、実にシャネルらしいセンセーショナルなニュースが、世界を驚かせた。それは、真っ赤なボトルに入った特別な「シャネル N°5」。 

「ストーリーを持ったオリジナルに匹敵するほどのインパクトとセンセーションを持ったものを作り上げるにはどうしたらいいか考えたんです。そこで思いついたのが、赤という色でした。赤は、シャネルを象徴する色のひとつ。生命、血、情熱、愛を意味する、シャネルにとって大切な色です。でも、今までN°5のボトルに採用したことはなかった。色を取り入れる、ただそれだけのことでとてもパワフルなプロダクトになったのです」

■時代に寄り添うこと
N°5が体現するのは、伝統を守りながら常に革新をもたらし、時代の先端であり続けているシャネルそのものだ。

「プロダクトが永遠のものになるためには、どのような考え方を大切にするかが重要です。シャネルが大切にしてきたのは、製品を時の流れと同時に進化させていくということ。それはただ新しいものに変えることとは大きく違います。ガブリエル・シャネルのエスプリに忠実でありながら、その時代に生きる人々に寄り添うことなのです」

 N°5は、その時代にあわせて香りを新たに解釈したバリエーションを発表しているだけでなく、実はボトルのデザインを時代に合わせて少しずつ変えているという。

「時代が変わり商品の使い方が変わり、ライフスタイルが変わっているなら、どのようにそこに寄り添うのか工夫を惜しまないことが重要なのです」

■エスプリと表現、そして自由
シャネルには時代性や現代性以外にも大切にされていることがある。

「それは機能性です。シャネルほど機能性に満ちたブランドはありません。服にはポケットがあり、ボタンがあり、ボタン掛けがある。機能を大事にしながら、それをファッションに投影していくのです」

着心地の良いジャージ素材を取り入れ、喪の色でしかなかった黒に新しい価値を与えるという自由な発想で、ファッションに大きな変革をもたらしたのもシャネルだ。

「フランスには、"エスプリを表現するには自由であるべきだ"という考えがあります。あの赤いボトルからも、私たちのクリエイションがいかに自由であるかがお判りいただけると思います。自由があってこそ、現代性が表現される。その結果、商品は素敵になる。これこそ、何より私たちが大切にしていることなのです」

常に時代にどう寄り添うかを大切にしてきたシャネル。「それは過去と断絶することではありません」とトマ・デュ プレ ドゥ サンモー氏。「伝統を大切にしながら時代と寄り添うからこそ進化があるのです。伝統と革新について考えるときに、すぐに思い浮かぶのが日本です。日本に来ると、飛行機から降り立った瞬間から刺激をもらっていますよ」。そう笑う彼が率いるシャネルの進化から、ますます目が離せない。

■プロフィール
トマ・デュ プレ ドゥ サンモー(Thomas du Pré de Saint Maur)
エセックス経済商科大学卒業後、名だたるフレグランスメゾンやファッションブランドで研鑽を積む。2008年、フレグランス&ビューティのマーケティングディレクターとして入社。2013年、同部門およびウォッチ&ファインジュエリーのクリエイティブワークを統括する同職に就任。

■お問い合わせ先
シャネル カスタマーケア/0120-525-519

■関連情報
・シャネル 公式HP:chanel.com
(c)marie claire style/Text: Jun Makiguchi