【11月28日 marie claire style】6年前、当時ファッションディレクターを務めていた雑誌の取材で、ミラノコレクションに行った時、バックステージでデザイナーのアレッサンドロ・デラクア氏のインタビューが叶った。その時、デラクア氏は黒のTシャツに黒のデニム。少し繊細そうで、けれどナポリ生まれのマスキュリンなセクシーさがあって、私は英語で直接話すことに、とても緊張していたのを記憶している。彼自身の名前を冠したブランド、「アレッサンドロ デラクア」は、1996年にスタート。そのセンシュアルで凜とした女性像に憧れ、思いきって購入した、新作のニットを私が着ていたことは、インタビュー時には話題にできなかったけれど、自分の作った1枚をきっと、彼は認識していたと思う。

 その後、2010年秋冬ミラノコレクションで、新たなブランド「N°21(ヌメロ ヴェントゥーノ)」を発表。さらに進化したセンシュアリティとフェミニニティを携え、あっという間に、日本でも人気を確立した。

 アイコニックなアイテムは、やはりヌードカラーのワンピース。肩が小さく、ウエストが絞られ、繊細で優雅な素材使い。これぞ、デザイナーが描く、「ヌメロ ヴェントゥーノ」の女性像を象徴する1着。私も似ているものを持っているけれど、機能性や合理性を超越した美しさに圧倒されてしまう。

 コーディネートや着方で、服を自分に引き寄せるのではなく、完璧に形作られた彼の世界観に、ぴたりと自分をはめていくようなイメージ。「どなたでもウェルカム」な服ではないけれど、それでよい。桁外れの才能の前に、アレッサンドロ・デラクアのドレスを、「無の境地で着れば」、それでよいのだ。

■プロフィール
大草直子(Naoko Okusa)
1972年生まれ、東京都出身。大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社。雑誌の編集に携わった後、独立。ファッション誌、新聞、カタログを中心にスタイリングをこなすかたわら、イベント出演や執筆業にも精力的に取り組む。WEBマガジン「mi-mollet」のコンセプトディレクター。新媒体「AMARC」(amarclife.com)を主宰。インスタグラム@naokookusaも人気。

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(c)marie claire style/photo: Asa Sato/selection, text: Naoko Okusa