【9月12日 marie claire style】モノグラムやダミエなど、一目でそれと分かる「ルイ・ヴィトン」のバッグを、街で見かけない日はありません。ブランド名が、そのまま創業者の名。マルティエ(スーツケース職人)であった彼が、1854年、パリ・カプシーヌ通りに開いた世界初の旅行鞄専門店が「ルイ・ヴィトン」の始まりです。1998年にはアパレル市場に進出。そして2002年、初の時計コレクション"タンブール"が誕生します。以来、多彩に時を表現してきました。中でも09年に誕生した"スピン・タイム"は、ユニークな創造性と優れた時計製作技術が生み出した代表作です。ダイヤルには時針に代わって12個のキューブを配置し、それらが毎正時に順にクルリと回って色や模様を変え、時を示す仕掛け。その楽しく精密な動きは見る人を虜にします。

 今年は、同機構の誕生10周年。最新作では、また新たな表現が提示されました。それがこの"タンブール スピン・タイム エアー"です。エアーというサブネームの理由は、時を示す12個のキューブを"空気"だけしか存在しない透明な空間に閉じ込めているから。周囲に遮るものが何もない中に置かれたキューブは、時が切り替わる際の回転する様子を露わにし、一層ドラマティックにしてくれます。この表現を実現するため、専用の小型自動巻きムーブメントも新たに開発。そう、「ルイ・ヴィトン」は、独創的なメカニズムや機械式のムーブメントを自社で開発・製造できる頭脳と設備を有しているのです。その拠点となるのが、14年にジュネーブ郊外に完成した時計製造アトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」。延床面積約4000㎡もの広大なアトリエでは、日々新たな時の表現が模索され、ダイヤルの製造や時計の組み立てが行われています。その規模や充実した設備は、時計専門メーカーを凌駕するほど。時計製作がトランクやバッグの余技では決してないことを、このアトリエと独創的な機構とが証明しています。

髙木教雄(Norio Takagi)
1962年生まれ。ライター。時計を中心に建築やインテリア、テーブルウェアといった「ライフスタイルプロダクト」を取材対象に専門誌や雑誌で幅広く執筆。スイスの新作時計発表会の取材も、99年より継続して取り組んでいる。独立時計師フランソワ・ポール・ジュルヌ著『偏屈のすすめ。』(幻冬舎)の監修・解説も担当。

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(c)marie claire style/selection, text: Norio Takagi