【8月29日 marie claire style】弱冠29歳にして、パロマ・カジル(Paloma Casile)はすでに輝かしいキャリアの持ち主です。フランスの伝統技術をバックグラウンドに、ランジェリーの分野で才能を開花させています。ファッション専門学校エスモードを学年首席で卒業した彼女は、類いまれなテクニックでもって、奥の深いランジェリーの世界に足を踏み入れました。その道を勧めたのは学校の先生たちで、早くからパタンナーとしての彼女の才能を見抜いていたそうです。自分もコレクションするほどランジェリー好きだったパロマにとって、当然とも言える進路でした。「就職して最初のパターンを引いた瞬間、きっと生涯この仕事をやり続けることになるだろうとわかったわ」。斜陽化したと思われがちなランジェリー業界ですが、いったいどこにそれほど惹かれたのでしょうか? ディテールや美しい素材、そして常に自分への挑戦となるような技術的な要素がその根幹にあります。というのも、体の動きを絶えず意識する必要があるから。もちろん、伝統技術との結びつきもあるでしょう。下着というのはフランス文化のDNAに深く刻まれていて、ファッションと同じく1つの芸術だと考えられています。しかし、実際に着るより美術館向けのようなアイテムも多いファッションと違い、ランジェリーはみんなが手にするもので、だからこそエフォートレスであるべきだとパロマは考えているそうです。

「シャンタル トーマス(Chantal Thomass)」や「カドール(Cadolle)」といったフランスの老舗ブランドで経験を積んだパロマですが、自分のブランドを立ち上げたのは偶然のようなものだったと言います。ディナール国際ファッションコンテストで受け取った賞金で、2012年の秋に初コレクションを制作したのが始まりです。フランス・カレーのレースなど伝統素材を使いフランスでハンドメイドされたピースには、世界中の顧客が魅了されました。日本のお客さんももちろんいるそうですよ! こうして、マレ地区にほど近い場所へアトリエ兼ショップを開くことになったのです。顧客だけでなくパリの街にも愛される彼女は、2017年に市から"工芸家(Artisan d’Art)"として認定されました。パロマによって、ランジェリーは再び高貴な芸術に返り咲いたのです。今となっては時代遅れなセクシーすぎる世界観から抜け出し、パロマは自分を大切にする、セルフケアという視点を取り入れました。バレンタインの贈り物なんて考え方は忘れましょう。だって、パロマ曰く「ランジェリーは笑顔にしてくれるもの。自分のためだけのもの」ですから!

■プロフィール
ルイーズ・エベル(Louise Ebel)
人気のファッションブログ「MISS PANDORA」を主宰。ブロガー、ジャーナリスト、作家。フランス、パリ在住。小さい頃から美術史と19世紀の世界に夢中となり、マリー・アントワネットやマルチェサ・カサティの世界への憧れから大学で美術史を専攻する。ヴィンテージファッションやアンティークの小物の収集家としても有名。

■関連情報
ルイーズ・エベルのニュースをまとめてチェック
ルイーズ・エベル公式ブログ「Pandora」<外部サイト>
【無料ダウンロード】marie claire style PDFマガジンをチェック!
(c)marie claire style/photos: Pauline Darley