【8月29日 marie claire style】6月28日、29日に大阪で開催された「2019年 G20大阪サミット」。表舞台での参加各国首脳によるさまざまな会議や会談以外にも、「配偶者プログラム」と呼ばれる、各国ファーストレディ、ファーストジェントルマンによる国際交流が行われました。その様子は7月25日発行の本誌でもお伝えしたのですが、このプログラムを考案したのは議長国首脳夫人、すなわち安倍昭恵・首相夫人です。その夫人へのインタビューとポートレート撮影が、サミット終了直後に実現しました。

 昭恵夫人にプログラムの内容、そこに込めた思いをお聞きすると、「28日は京都で、G20開催国である日本の歴史や文化を体験していただくために、東福寺に皆様をお連れしました。そこで青もみじを愛でながら、旬の食材を豊富に用いた料理とお茶とお菓子をいただいたのですが、皆様の様子から、今まで経験したことのない別世界に入っていくようなワクワクした気持ちが感じられました。蒸し暑い日だったのですが、遠くから聞こえる鼓の音にも耳を澄まされ、京都の静寂に浸っていただけたと思います」

 この日の昭恵夫人は花菖蒲の葉を西陣織で、花を手描き友禅と刺繡で表現した薄紫色のドレスを着用。2日目の大阪では、このページでも着用している丹後の壁撚りシルクジョーゼットのブルーのワンピースに、螺鈿織りのウエストベルトという、日本の伝統技術をアピールした装い。大阪府庁本館エントランス階段に特設された茶席で、若手歌舞伎役者・中村米吉氏によって演じられた「KABUKI 2019-Princess YAEGAKI」で各国のファーストレディたちをもてなしました。

 この歌舞伎の衣装も、今回の昭恵夫人のファッションも、「ハナエモリ マニュスクリ」のデザイナーを務めた経験を持つ天津憂氏のプロデュースによるもの。

「大阪で開催されることが決まって、まず最初に考えたのは地場を応援したいということです。5月には生産者のところに伺い、生産工程、歴史などを学ばせていただきました。天津さんからも関西の素材について色々アイディアを出していただき、大阪、京都などの日本の織物産地の活性化や、そこで仕事をする若いデザイナーを支援するという意味も込めて、デザインをお願いしました。日本の伝統工芸は危機的状況にあると思います。それを何とかして次の世代につなぎたいという思いから、私が着ることによって、日本の伝統技術の素晴らしさを多くの人に知ってもらえたらと思いました」

 こうした女性ならではのアプローチのほかに、昭恵夫人は、サミットの主要議題の一つでもある海洋環境の問題を取り上げた「海は輝くいのちの源」と題したシンポジウムも開催しました。「各国の首脳・国際機関代表の方々が会議をしている間、その配偶者の方々にも、日本のことをもっとよく知っていただきたい。何かメッセージ性のあるものをやりたいと思っていました。それで『G20』のテーマでもある『海洋環境』についてのシンポジウムを、太平洋・島サミットに続いて開催したのです」

 2日間しかない配偶者プログラムですが、日本の美、伝統工芸技術、そしてシンポジウムによる、より現代性のあるテーマの学びと充実した内容。昭恵夫人の思いが多くの首脳・国際機関代表の配偶者たちの心に届いたであろうことを祈りたいと思います。

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(c)marie claire style/interview & text: 田居克人 Katsuto Tai, marie claire style編集長/photo: Wataru Yoneda/hair & make-up: Mitsugu Takahashi