【3月28日 marie claire style】ニューヨークのオークションで、存命の画家としては最高額となる約102億円で1枚の絵が落札されました。絵を描いたのはデイヴィッド・ホックニー。80歳を超えるおじいちゃんです。彼は絵を描くだけでなく、写真作品も作るし、最近じゃiPadで絵を描き、それにも高値がついている。常に時代と共に進化しつづけるアーティストです。

 今日紹介する本は、そんなホックニーと美術批評家マーティン・ゲイフォードの、絵画の歴史を巡る対談集です。これは絵本です。だから私は最初、「子ども用の美術入門書かな?」と軽い気持ちでページをめくっていたのですが、とんでもない!!!! 大人が読んでも、大人が読むからこそ、面白い本かもしれません。

 初めて人類が描いたと言われる絵はラスコー洞窟の壁画です。もしかしたら絵は言葉よりも古い歴史を持っているかもしれません。この本は、ここから話が始まります。

 絵というのは、ものをよく見ることだと、私は思います。例えば、リンゴが目の前にあったとします。そのリンゴの美しさを誰かに「伝えたい」と思い描いてみます。Aさんはリンゴの形に美しさを感じ、紙の真ん中に黒いペンでリンゴの形を描きました。色は使わずにフォルムだけを描きました。Bさんはリンゴの色に美しさを感じ、紙の上に白い部分がないくらい赤い絵の具を塗りました。さて、どちらが正しいリンゴの絵でしょうか? 私にはどちらの絵からも「伝えたい」という切実な思いが伝わってくるようで、決めることができません。絵というのは「自分が見たことを人に伝えたい!」という向上心によって歴史を紡いできました。

 そんな人類の切実な絵との歩みを、ホックニーの作品も交えながら、写真や映画、そしてインターネットやiPhoneも含めて考えていく本です。

■RECOMMEND/日本・オーストリア外交樹立150周年記念「ウィーン・モダンクリムト、シーレ 世紀末への道」
会期:2019.4.24(水)~8.5(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
お問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://artexhibition.jp/wienmodern2019/

■プロフィール
前田エマ(Emma Maeda)
1992年生まれ。東京造形大学卒業。オーストリアウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中より、モノづくりという観点から、雑誌のディレクション、ショーやイベント、ファッションブランドのモデルをつとめる。ほかにもエッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、分野にとらわれない様々な活動が注目を集めている。Now Fashion Agency所属。

■関連情報
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(c)marie claire style/selection, text, photo: Emma Maeda