【2月28日 marie claire style】最近、他業種の方と話す機会に恵まれると、十中八九、AIの話を耳にする。近い将来、私たちの日常に入り込むであろうこのソフトウェアに可能性は感じつつも、美容やボディメイクにおいて都合のいい話には少し懐疑的になってしまう。自分の頭で考えることをやめてしまったり、失敗から得る確かな学びを失うことは人間の退化を意味すると、密かに懸念しているからだ。特に個性を表現するメイクアップに関しては、クリエーターの斬新なアイディアやメッセージを共有することにも重要な意味がある。そんな背景から、自由で大胆不敵なインスピレーションを絶えず発信し続ける「NARS」は、私が必ず注目するブランドとして君臨している。

 1994年に「NARS」を創設したメイクアップアーティストのフランソワ・ナーズは、多感な時期にファッションに精通した母の姿や写真家ギイ・ブルダンの作品に触れたことでこの道を志したという。フォトグラファーの顔も持つ彼がコラボレーションした数々のアーティストを振り返ると、彼が歩んだ足跡と時代が鎖のようにリンクしているのが見て取れる。

 私がこのブランドに惹かれる理由は主に2つある。まずは色の魔術師とも呼ばれる彼が、早い段階から多彩な色による多様性を提唱していたこと。ダークトーンの肌をファンデーションの色みに合わせようと、必死で美白に勤しんでいたストレスから私を解放した。悩みを一掃しつつ、自身の個性を引き立ててくれるので、肌と良好な関係が築けるようになったのだ。また今季は、ベースメイクに新色が追加されたことで2つのテクスチャーごとに各19色のカラーレンジが実現。豊富なバリエーションでありながら時代に合わせた質感を採用することで、彼が提唱する"タイムレスな美しさ"をキープできる。

 もう1つは、使い手の独創性に委ねられたカラーパレットにある。とりわけ、シーズンごとに発売される限定パレットは、自分のために作られたものに違いないと思えるほどスキントーンにマッチする。整えた肌に鮮やかに映えるカラーは、単色はもちろん、重ねるごとに顔にスタイリッシュさと深みを吹き込む。私は旅先に必ず最新のパレットを持参して、その時のムードや気候に合わせたカラーメイクを楽しむ。流行とはまた違った"自分なりの時代"をそこに刻みたいからだ。

 幸い、今は正しいプロセスさえ踏めば自分からアーティストやブランドが発信するルックやコレクション、そしてエスプリに触れることができる(幼い頃、眠い目をこすりながら「ファッション通信」を見ていたことが懐かしい)。春を目前に、改めてアーティストブランドにおける美のヒントを探しつつ、自分らしさを表現するカラーメイクを満喫してみてはどうだろう。

■お問い合わせ先
NARS JAPAN/0120-356-686

■プロフィール
小西俐舞ナタリー(Nathalie Lima Konishi)
フランス人の父を持つビューティアクティビスト。モード系美容誌編集を経て独立後、日本や海外の美容媒体をメインに、コレクション速報や取材現場で得た美容メソッドなどを中心に執筆中。レインボータウンFMのラジオ番組「Nathalie’s Beauty Talk」では第2木曜と第1土曜にフランスの最新情報などを紹介している。

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(c)marie claire style/selection, text, photo: Nathalie Lima Konishi