【2月20日 marie claire style】「オリエント急行」。体制より象徴に重きが置かれた時代に、燦然とラグジュアリーを体現していた数少ない名前です。1920~30年代のカフェ・ソサエティのような、コスモポリタンな貴族やアーティストの集まりも思い出させますね。アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』は不朽の名作となり何度も映画化されていて、最新のものは2017年に公開されました。かつてはヨーロッパを横断していたオリエント急行ですが、現在でも当時の美しい車両が実際の線路を走っています。芸術作品のような列車が今の時代に本当に運行されてるなんて、素晴らしいとしか言いようがありません!

 しかし、パリ─ベニス間やパリ─イスタンブール間などを走行している今日の列車は、かつてのように「オリエント急行」という名前ではないのです。元々ベルギーの鉄道会社が運営していたものは廃止されており、現在のオリエント急行は1982年にオリエント・エクスプレス・ホテルズ社(現・ベルモンド社)が開始したもので、「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」と名付けられています。それでもリュクスでオーセンティックなところは昔と変わりありません。1920年代に生産された寝台車などで構成されていて、ほとんど当時のままの素材が用いられているのです。本当に素晴らしいオブジェだと言えるでしょう。

 この「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」に乗ってヨーロッパを旅するというのは、時を超えた唯一無二の体験です。もちろんそれなりの対価が必要ですけどね! すべて込みのリゾートが割引価格で手に入る時代に、たった24時間の旅に対して2週間分のバカンスに相当する料金を払う人たちがいるというのは、とても興味深い事実です。しかし、何も顧客は大金持ちの特権階級ばかりではありません。趣味人や鉄道ファンの他に、新婚旅行や結婚記念に訪れるカップルも利用しています。夢のようなひと時を過ごせるのですから、乗客は皆幸せそうで、車内の雰囲気も明るいものです。ただ一つ難点を挙げるとするならば、いつかは列車を降りて現実の世界に帰らなくてはいけないということくらいですね!

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(c)marie claire style/photos: Pauline Darley