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【12月20日 marie claire style】いままで生きてきて、 私は"後悔する"という感情をあまり持ったことがありません。夢破れたり、失敗することばかりの日々ですが、やらずに後悔するよりも、やってみて後悔するほうが性に合っているので、仕方がないなと思います。

 そんな私が唯一、後悔していること。それは大学在学中に美術の教員免許を取得しなかったことです。まあ、教員免許取得に尽力していたら海外留学はできなかったので結果オーライなのですが、いまだに心に重いものがズーンと鎮座しています。

 私には小さいころからずっと疑問だったことがあります。それは「絵が上手な人が美術の成績がよい」ということです。

 日本には美術館や芸術祭に行くことが好きな人がたくさんいます。彼らのほとんどは「絵が上手くなりたい」とか「今度の作品の参考にしたい」という理由でアートに触れているわけではありません。「美しいな」「考えさせられるなあ」などいろいろな理由でアートを楽しんでいます。アートを作る人よりもアートを楽しむ人のほうが多いのです。ですが日本の美術教育では、「アートを観ること」は、あまり大切にされていないように思うのです。小中学校での美術の時間、絵を描くのが苦手な子は、ほんとうに辛そうで、私は心が苦しかったです。描くだけじゃない、観て体験する楽しさをもっと私たちに与えてください、と思っていました。

 大学生になり、子供のお絵描き教室でアルバイトをしました。そこでもやはり(当たり前なのですが)、絵が上手いことが正義。私は気分が悪くなりすぐ辞めました。私の夢はもっとたくさんの人が「アートがあるって楽しいな」と感じられる世界になること。教師じゃなくても、なにかできたらいいなと思っています。

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会期: ~ 2019年1月31日(木)
会場: ちひろ美術館・東京
お問い合わせ先: 03-3995-0612
https://100.chihiro.jp/exhibitions/life/180

■プロフィール
前田エマ(Emma Maeda)
1992年生まれ。東京造形大学卒業。オーストリアウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中より、モノづくりという観点から、雑誌のディレクション、ショーやイベント、ファッションブランドのモデルをつとめる。ほかにもエッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、分野にとらわれない様々な活動が注目を集めている。Now Fashion Agency所属。

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(c)marie claire style/selection, text, photo: Emma Maeda

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